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農林水産省がバターの追加輸入を決定。バターは国家独占貿易だった

 

 農林水産省は2015年5月27日、バターの品薄に対処するため、1万トンの追加輸入を実施すると発表した。2月にすでに2800トンの輸入を実施しているが、今回の輸入量はこれを大幅に上回る。大規模輸入で事態の改善を図る方針だが、一連の品薄に対しては国家貿易による弊害を指摘する声も出ている。

bata
 バターが品薄になっているのは、バターの原料となる生乳を生産する酪農家が減少していることが主な要因。昨年は猛暑で牛乳の生産量が落ち込み、これが品薄に拍車をかけた。
 だが一般的な食材であれば、減産が予想された場合には輸入が増え、安定供給が維持されることになる。しかしバターは国家貿易の対象製品であり、こうした市場メカニズムが働かないという事情がある。

 日本は、1993年に妥結した多国間貿易交渉(ガット・ウルグアイラウンド)によって、毎年一定量、バターや脱脂粉乳といった指定乳製品を輸入している。だが、この輸入は、実質的に独立行政法人農畜産業振興機構が一元的に管理する仕組みとなっており、各事業者が自由に輸入することができない。

 バターを輸入する事業者は、あらかじめ機構に登録し、輸入したバターは一旦同機構に売り渡す必要がある。機構側は内外価格調金(マークアップ)を上乗せし、事業者は再び機構からバターを高い価格で買い戻し、これを市場に流通させる。

 機構が直接輸入を行うわけではないが、輸入量やタイミングなどはすべて機構の方針に依存してしまう。民間企業のように機動的な動きはできないので、需給動向を把握しきれず、品薄を加速させた面は否定できない。
 農林水産省と同機構は、硬直的な従来の輸入管理体制をあらため、定期的に輸入量の判断を行うことを決定している。2015年については1月、5月、9月に輸入判断を行うとしており、今回の追加輸入はこれに基づく措置ということになる。

 今回の一連の出来事によって、バターが事実上の国家独占貿易になっていることを初めて知ったという国民も多い。
 機構は、内外価格調整金を付加する機能を果たしているが、輸入事業者からバターを買い入れ、利益を乗せて再販売しているという図式にもなる。内外価格調整金については、酪農家保護という観点からその存在には一定の合理性があるが、同機構がそれによって独占的に利益を得るようなスキームについては疑問の声も出ている。

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