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日本創生会議が首都圏高齢者の地方移住を提言。その現実性は?

 

 民間有識者でつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は2015年6月4日、首都圏の高齢化に関する提言をまとめた。今後、首都圏で高齢化が急速に進展し、介護施設の不足が予想されることなどから、地方に高齢者を移住させる必要があるとしている。

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 日本創生会議は、商工会議所加入企業などで構成する民間シンクタンク日本生産性本部を母体とする民間有識者会議。建設官僚出身で元総務大臣の増田寛也氏が座長を務めている。昨年は全国で900近い自治体が消滅する可能性があるとの試算を行っている。

 提言では、今後、東京を中心とする1都3県において、今後10年間で75歳以上の高齢者が175万人増えると推計している。
 東京中心部よりも、神奈川、埼玉など周辺地域の高齢化が著しいが、これは周辺の団地に住む人の年齢層が偏っていることや、高齢者向け施設が都心よりも周辺地域にあることが主な要因。こうした施設への入居に伴って、都心から周辺に高齢者が転出していると考えられる。

 今後は、首都圏全域でこうした高齢者向け施設の数が足りなくなることが予想され、「周辺地域の介護施設を東京圏の高齢者が奪い合うような事態が生じかねない」と提言では指摘している。
 また首都圏で介護施設などを多数建設してしまうと、介護職員などを大量採用することになり、地方から首都圏への人口流出を加速してしまうという。

 こうした状況を防ぐため、提言では、受け入れ余力の大きい地方に、首都圏の高齢者を移住させる必要があるとして、医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を移住先の候補地として示した。
 具体的には、北海道の帯広市や釧路市、鳥取県の米子市、福岡市、熊本県の八代市などが列挙されている。

 ただ、高齢者は住み慣れた地域での定住を望む傾向が強く、制度の設計によっては間接的に移住を強要する形にもなりかねない。また地方の受け入れ余力が大きいといっても、介護要員の確保が難しく結果的に施設の稼働率が低いケースもあり、必ずしも受け入れ体制が整っているわけではない。

 こうした制度が実現した場合には、多額の補助金が動くことになり、利害関係も複雑になる。実際に制度として落とし込むのは、そう容易ではないだろう。

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