米ロボット・コンテストは日本勢振るわず。背後に垣間見えるグーグルの影
米国防総省の国防高等研究局(DARPA)が主催するロボット・コンテストの決勝戦が2015年6月2日に行われ、韓国科学技術院のチームが優勝した。
ただ、一昨年に開催された予選で断トツのトップだったグーグル傘下のロボット・ベンチャーSCHAFTは本選を辞退しているほか、他のチームの多くが、グーグル傘下のロボット企業であるボストン・ダイナミクス製のロボットを使用している。状況はむしろ水面下で進んでいることをうかがわせる。
このコンテストは、過酷な災害現場を想定したコースで、車両の運転やハシゴを登るといった8つの課題を競い合うもの。原発事故などが想定されているが、コンテンストを実施しているのが米国防総省である事からも分かるように、本当の目的はロボット兵器の製造にある。
2013年12月に予選が行われたが、そこでは東大発のロボット・ベンチャーであるSCHAFTが大差を付けて優勝した。今回の本選でも1位の大本命だったが、同社は本選の出場を辞退してしまった。
その理由は、予選出場の直前、同社がグーグルに買収されたからである。グーグルは秘密裏に開発を進める方針を貫いており、グループ入りした同社もその方針に倣い、ホームページなどを事実上閉鎖し、一切の取材を受け付けなくなってしまった。
今回の本選は、本命なしで争われた形になったことに加え、日本以外の出場国の多くが、米ボストン・ダイナミクス製のロボットをベースにしている。同社もグーグル傘下の企業であることを考えると、実質的にロボット市場はグーグルの手の内にあると考えてよいだろう。
ちなみに1位となった韓国は独自のロボットを使用しているが、2位の米国の大学連合チームはアトラス製、3位は米カーネギーメロン大学製だった。
日本は独自使用のロボットで4チームが参加したが、産総研のロボットが10位に入るにとどまっている。
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