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米国がサウジを抜いて世界最大の産油国に。今後、地政学的なバランスは激変する

 

 石油メジャーの英BPは2015年6月10日、2014年のエネルギー統計を発表し、米国がサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になったことを明らかにした。シェールオイルの増産が続いたことが要因。

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 2014年における米国の原油生産量は1日あたり1164万4000バレルで前年比で15.9%も増加した。昨年までトップだったサウジアラビアは前年比0.9%増の1150万5000バレルで2位となった。3位は昨年と同様ロシアで前年比0.6%増の1083万8000バレルだった。

 米国が石油生産で首位になるのは1975年以来、約40年ぶり。米国の生産量が伸びたのは、当然のことながら米国でシェールオイルの開発が進んだことが原因。2014年は原油価格が1バレル100ドルから50ドル台に一気に下落したが、シェールオイルの増産は続いた。

 米国が世界最大の石油産出国になる意味は大きい。米国は産油国でもあるが、世界最大の石油消費国でもある。全世界の石油消費量のうち2割を米国が消費しており、これまではサウジアラビアなどから石油を大量に輸入していた。

 だがシェールオイルやシェールガスの増産が続いたことで、米国は理論上、近い将来、自国で必要なエネルギーをすべて自給できる計算となる。
 国家戦略上、米国はエネルギーの輸入を停止することはありえないが、米国がエネルギーを他国に頼らなくてもよいという地政学的インパクトは無視できない。

 オバマ政権は中東への関与を極力避け、同地域に展開する軍事力を大幅に縮小させるリバランス戦略を進めている。これはオバマ政権に特有の外交戦略と考えられているが、必ずしもそうとは限らない。

 米国はもはや中東に石油を頼る必要がなく、中東地域の安全保障は米国にとってそれほど重要ではなくなっている。
 米国はかつて、アメリカ大陸のこと以外には基本的に関与しないという、引きこもり政策を採用していた時期があった(モンロー主義)。現在のように各国に軍隊を派遣し、全世界のリーダーとして振る舞っているのは、戦後になってからである。

 エネルギーの自給が可能になったということは、理論的には米国は再びモンロー主義の国に戻ることを可能とするものである。戦後国際秩序の象徴だった米国とイスラエルの関係も今後、変質していくかもしれない。

 グローバル化が進んだ現代において、米国が孤立主義を採用する可能性は現実にはゼロに近い。だが、各地域への積極的な関与が、劇的に減ってしまう可能性については考慮に入れておく必要があるだろう。特に米国の軍事力に安全保障のほとんどを委ねてきた日本のような国はなおさらである。

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