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安倍総裁が国債の日銀引き受けに言及。市場は完全に「円安」を織り込み始めた

 

 自民党の安倍晋三総裁が、とうとう日銀による国債直接引き受けに言及した。安倍氏は17日、熊本市内で講演し、政権を取り戻した場合には景気対策として公共投資を拡大すると表明し、その財源として「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう」との意向を示した。

 安倍氏は政権獲得後の金融政策について、インフレターゲットの導入や日銀法の改正についてすでに言及しているが(本誌記事「安倍氏が日銀法改正に言及。今の日銀法に変えたのは自民党だって覚えてますか?」参照)、今回さらに一歩踏み込み、国債の直接引き受けという一種の「禁じ手」の領域まで踏み込んだ発言を行った。

 これに対して野田首相は「あってはならない経済政策」として批判しているほか、自民党内部からも慎重論が出ている。日銀法の改正については、政権公約に盛り込まれることが決まっているが、日銀による直接引き受けについては公約には明記されない見込み。

 もっとも、日銀による国債の直接引き受けは、いわれているほど「禁じ手」というわけではない。直接引き受けは財政法で制限されているが、国会決議を行えば実施することが可能。しかもすでに日銀による直接引き受けは小額ではあるが毎年実施されており、名目上はすでに「禁じ手」ではなくなっている。
  また日本経済の構造的欠陥から、これまでの緩和策で供給されたマネーは市場に出回らず、ほとんどが国債の購入に充当されている。実質的にはすでに日銀の国債引き受けが行われた状態となっているのだ。
 安倍氏の発言は、緩和策の実施には手段を選ばないという決意を示すことで、市場に対する心理的効果を与えるという意味が大きいと考えられる。

 実際、安倍氏の積極的な発言を受けて市場は大きく反応している。BRICsの名付け親でもある米ゴールドマン・サックスのジム・オニール氏は、最新のニュースレターで「長期間にわたった円高傾向がとうとう円安に転じた」との見解を述べており、市場はその話題で持ち切りだ。

 財政規律を重視する財務省や日銀は、直接引き受けに反対する可能性が高く、自民党政権が成立しても実現するかは不透明だ。だが少なくとも、市場に対しては日本の金融政策が「変わる」というメッセージは届いているようだ。

 - 政治, 経済

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