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安保法制をめぐり憲法解釈に関する議論が紛糾。日本において立憲主義の定着は困難?

 

 安保法制をめぐる議論が紛糾している。衆院の憲法審査会では、与党が推薦した参考人を含む全員が安保法制を「違憲」と断定。これに対して、自民党の高村正彦副総裁が「憲法学者の言う通りにしていたら日本の平和と安全は守れない」と発言するなどヒートアップしている。

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 衆院は2015年6月4日、憲法を専門とする有識者3人を招いて参考人質疑を行った。参考人全員が集団的自衛権の行使容認を前提とした安全保障関連法案について「違憲」との認識を示した。与党が推薦した参考人も違憲と述べたことについて、与党内では混乱が広がっている。

 ただ、一連の議論はあまり中身のあるものとはいえないようだ。憲法学者は立憲主義に基づいて、集団的自衛権の行使を違憲と判断している。
 実際、安倍政権の内部には、立憲主義をほとんど理解していないと思える発言をする人物が存在しており、これが国民の不安を増大させていることは間違いない。何よりもこうした状況は、日本の民主主義の幼稚さを示しているといえるだろう。

 だが、違憲についての見解を述べる憲法学者が、その根拠のひとつとして、内閣法制局の見解を引き合いに出しているのも非常に違和感がある。
 内閣法制局はあくまで行政府の一組織であり、慣行により独立性が高かったとしても、本質的には憲法解釈を行う立場にはない。集団的自衛権の行使を推進する側も、それを否定する側も、行政組織に過ぎない法制局の見解を持ち出してくるところに、日本の議会制民主主義の脆弱さが露呈している。

 安倍首相は事態を打開するため14日、維新の党最高顧問である橋下徹大阪市長と会談し、安保法案に対する協力を求めた。

 何かと過激な発言が多い橋下氏だが、立憲主義については正統な見解を示している。今回の安保法制についても「憲法学者の意見は傾聴に値するが、日本における有権解釈者ではない」「これまでは内閣法制局が事実上の憲法の番人になっていた。これが間違い」と発言。砂川事件判決における統治行為論を引き合いに、国会で議論の重要性を力説している。

 橋下氏くらいの見解をもつ政治家が安倍政権内に1人でもいれば、議論は深まったかもしれないが、現状ではそれは期待できないだろう。

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