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トヨタが株主総会で種類株を可決。本気度が問われる新しい日本流ガバナンス体制

 

 トヨタ自動車は2015年6月16日、主要企業のトップを切って株主総会を開催した。最大の注目点であった新型種類株については、可決されたものの25%の反対票があった。トヨタ流の新しい資本政策が市場に受け入れられるのか、トヨタの本気度が問われている。

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 今回、発行が決まったのは「AA型種類株式」という名称の種類株。種類株とは普通株式とは異なる権利を有する株式のこと。
 非上場で、5年間は譲渡や換金ができないが、5年を過ぎた時点で、普通株に転換するか、トヨタに買い取りを請求するのか、あるいはそのまま保有するのか選択できる。
 配当は支払われるが、初年度は0.5%と低く抑えられており、翌年度以降5年目まで0.5%ずつ 段階的に増加していく。
 トヨタが倒産しない限りは、配当が支払われ、5年後にはトヨタが買い取ってくれるので、限りなく元本保証に近い商品ということになる。

 同社は製品開発サイクルに合わせた、長期的な資金を調達することが目的と説明しているが、同社は、今回の種類株発行と合わせて、ほぼ同数の自社株買いを予定している。つまり、トヨタ側は新しい資金を調達するわけではなく、既存の普通株を種類株に入れ替えるということになる。背景には、グループ企業間の株式持ち合いを解消する狙いがあると見て間違いない。

 こうした種類株は、資本政策に柔軟性を持たせることができる反面、特定の株主を優遇することになり、公平性という点で問題が生じる可能性がある。今回の種類株発行に際しても一部の株主からは、経営者にとって都合のよい株主を集めようとしているだけとの批判の声もある。

 同社は今回の総会に合わせて取締役会のメンバーを一新しているが、今回の種類株発行と新しい取締役会の構成は実はセットになっている。
 新しい取締役は1名を除くと皆、代表権を持っており、より全社的な視点で決断を下せるようになっている。CEO以外はすべて社外役員という欧米型のガバナンスとは異なっているが、経営と執行の分離がほとんど進んでいない他の日本企業と比べればレベルは向上したといってよい。

 これはトヨタなりに考えた、グローバル基準を満たしつつ、日本型スタイルを維持する企業統治のあり方なのだと考えられる。AA種類株も当然、その延長線上にある。

 ただ、こうした日本流のガバナンス体制がグローバル市場で受け入れられるのかは、結局のところ今後の経営次第である。株主の意向を経営に反映し、長期的な成長を持続することでしか、その正当性を証明することはできない。
 同社は今後、継続的にこうした種類株を発行する可能性が高い。反対に回った25%の株主を説得できるのかは、今後の業績次第だろう。

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