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選挙権の年齢が18歳以上に引き下げ。しかし成人年齢は20歳のまま

 

 選挙権の年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案が2015年6月17日、参院本会議で可決成立した。6月中に公布し、1年後に施行される。2016年夏に行われる参院選から新しい制度が適用されることになる。

 選挙権年齢の年齢を引き下げるのは、表面的には若い世代の政治に対する参加意識を高めることが狙い。今回の改正によって、来年夏の参院選では新たに約240万人が投票可能となる。全有権者数に対する割合はごくわずかなので全体的には大きな影響はないが、投票率が上昇するきっかけにはなるかもしれない。

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 ただ水面下では、各党の党利党略がからみ、非常に複雑なメカニズムが働いている。若年層は成人に比べて純粋であることから、各党が強固な支持層としての取り込みに躍起となっているからである。

 憲法改正派は、若年層を憲法改正の国民投票における重要な支持層とにらんでいる。今回の選挙権年齢の引き下げも、憲法改正の国民投票とセットで実施されたという側面が強い。
 日本国憲法はもともと、内容を変更することをほとんど想定しておらず、憲法改正の手続きを規定する法律は存在していかなった。
 こうした状態を解消するため、2007年5月に「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が施行され、昨年には、この法律の一部を改正する法律が公布されている。

 国民投票法では、2018年6月21日以後に実施される国民投票からは投票権年齢が18歳以上に引き下げられることになった。憲法改正の国民投票が18歳以上なのに、通常の選挙が20歳以上ということでは整合性が取れないことから、選挙権についても引き上げが行われたというのが法改正の経緯である。

 一方、組織力を持つ野党にとっても、選挙権年齢の引き下げは朗報である。大量の若者を政治活動に動員できるからである。

 全体としてみれば、成人年齢が20歳にとどまったままとなっており、選挙権の年齢だけが引き下げられた状況にある。本来であれば、成人年齢と選挙権の年齢は同一である方が望ましいのだが、成人年齢の引き下げは、民法など他の法体系の関係があり、簡単に変更することができない。

 とりあえず支持層として取り込みたい各党の意向が先行し、選挙権年齢だけが引き下げられたというのが現状である。各党の党略ありきという状況であり、拙速に進めすぎたという印象は否めないだろう。

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