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手詰まり感が出てきた新しい成長戦略。素案には抽象的なキーワードが並ぶ

 

 政府は2015年6月22日、産業競争力会議を開催し、今月末にまとめる成長戦略の素案を提示した。現状を「アベノミクス第2ステージ」と位置づけ、今後は、生産性の向上に本格的に取り組むとしている。ただ、素案には抽象的で情緒的、扇動的なキーワードが並んでおり、政策の手詰まり感も出ている。

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 素案によると、新しい成長戦略は「未来投資による生産性革命」と「ローカルアベノミクス」という大きな二つの枠組みで構成されている。
 未来投資による生産性革命では「稼ぐ力を高める企業行動を引き出す」「新時代の挑戦を加速する」「個人の潜在力の徹底的な磨上げ」という3つの項目が掲げられている。

 文言があまりに抽象的、扇動的なので具体策がイメージしにくい。個別項目を見ていくと「攻めのコーポレートガバナンスの更なる強化」「迫り来る変革への挑戦」といったキーワードが並んでおり、やはり内容がよく分からない。

 さらに詳細な項目を見ると、ようやく具体策が提示されているが、状況はほぼ同じだ。コーポレートガバナンス強化の具体策は「攻めのガバナンス体制の強化」となっている。ガバナンスの強化策がガバナンス体制の強化ということなので、これは一種のトートロジー(同義反復)である。

 稼ぐ力を高める方策としては、ガバナンスの強化に加えて、ベンチャー支援も盛り込まれている。

 これまで日本は20年近くベンチャー支援策を行ってきたものの、ほとんど成果を上げてこなかった。この現実は政府も認識しているようで、これまでバラバラに展開してきたベンチャー関連施策を有機的に統合・連携させるとしている。

 ただ具体策については乏しく、唯一盛り込まれているのは、2020年の東京オリンピックに合わせ、世界中から一流の経営者、起業家、ベンチャーキャピタル、機関投資家等を招いて「グローバル・ベンチャーサミット(仮称)」を開催することだけである。

 ローカル・アベノミクスの項目にも、「中小事業者にとっての成長戦略の見える化」「農林水産業における「攻めの経営」の確立」といった文言が並ぶ。成長戦略の具体策が成長戦略の見える化では、何が成長戦略なのかよく分からない。

 このところ好調な米国経済を背景に、輸出産業を中心に設備投資に拡大傾向が見られるようになってきた。原油安などの好影響もあり、景気は上向きつつある。成長戦略の内容に手詰まり感が出てきていることを考えると、成果については、足元の景気動向次第ということになるだろう。

 - 政治, 経済

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