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米中は戦略経済対話を開催。表面的には南シナ海問題で激しいバトルになっているが・・・

 

 米中は2015年6月23日、両国間の懸案事項について話し合う第7回米中戦略・経済対話をワシントンで開催した。今年の戦略対話は、中国による南シナ海での埋め立てがひとつの焦点となっていた。表面的には中国の行動を牽制する発言が見られたが、水面下では実務的な交渉が行われている可能性が高い。

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 米中戦略経済対話は、米中両国間の重要な課題に関する実務的な議論を行うための場で、対象となる分野は、安全保障、経済、金融、貿易、エネルギーなど多岐にわたる。米国側は、米側はケリー国務長官とルー財務長官が、中国側は汪洋副首相、楊潔チ国務委員が代表を務めている。

 会議の冒頭、米国のバイデン副大統領は「世界の海上交通路はオープンで保護されたものでなければならない」と発言し、南シナ海で埋め立てを強行している中国側を牽制した。中国側は対話が重要としてこれを否定している。

 国内の報道では南シナ海問題で米中の対立が激化しているというトーンのものが多いが、実際はそうでもない。この会議は「米中のあらたな大国間関係を構築する場」と位置付けられており、2大国間で発生する様々な問題を議論することを目的としている。

 つまり米中は、双方ともにお互いが世界の2大国であると認めており、そこをベースに交渉を進めるというスタンスが貫かれている。「両国がすべてについて同意するわけではない」という汪洋副首相の発言からも分かるように、意見の相違があることはあらかじめ了解済みだ。
 米国と中国が南シナ海をめぐって激しく対立しているという図式だけで米中関係を見てしまうと本質を見誤る可能性がある。

 米中間の交渉でもっとも重要となるのは、双方が2大国として、どの範囲の権益までを認めるのかという部分である。これについては、非公式協議の場で話し合いが行われており、結果が声明などでオープンにされることはない。

 また、個別のテーブルでは、大量破壊兵器の不拡散、国際的な汚職防止措置、障害者の権利、運輸安全、災害対策、気候変動、海洋ゴミ対策、など100項目以上の詳細な交渉が行われている。こうした細かい実務的な交渉を通じて、双方が駆け引きを行っている。
 米中両国は、南シナ海をめぐって火花を散らしつつ、水面下では、より実務的な対話のチャネルを深化させていることが分かる。

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