ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

介護職員が38万人不足との推計。抜本的な解決策は見当たらず・・・

 

 厚生労働省は2015年6月24日、全国で介護職員が約38人足りなくなるという推計をまとめた。人材確保に向けた対策を講じるとしているが、状況の改善は容易ではなさそうだ。

 2025年度において、全国で必要となる介護要員の数は253万人。これに対して、現状のシナリオが継続した場合には、215.2万人しか確保することができない。このため約38万人の介護職員が不足することになる。2025年は団塊の世代が75歳になるタイミングであり、社会的インパクトは大きい。

kaigoshokuin
 介護現場で必要な人数に対して、実際に何人の人が働くことができるのかという充足率について見ると、2017年は94%となっているが、年を追うごとに低下し、2020年には91%となり、2025年には85%まで下がってしまう。介護に対する需要は増える一方だが、少子化の影響で勤労世代が減り、人材の供給が追いつかない状況となる。

 政府は需給ギャップを埋めるための対策を実施するとしているが現実は厳しい。介護労働者の就業形態は非正規職員に大きく依存している状況であり、かつ職員の高齢化も進んでいる。多くが女性であり、男女のバランスという点でも大きな偏りが見られる。訪問介護要員の80%が女性で、30%が60歳以上というのが現実だ。

 こうした状況もあって賃金も低く抑えられている。介護職員の平均月収は約22万円となっており、平均勤続年数は5年から6年程度である。基本的に公費の補助がなければ成立しない業種なので、賃金の上昇には限度がある。

 政府が検討している対策は、介護業界のイメージアップ、代替職員の確保、資格取得の支援など、側面支援的なものにとどまっている。これは抜本的な解決が困難であることの裏返しともいえる。

 これに加えて地域差の問題も浮上している。鹿児島県のように充足率が上昇し、2025年度には約96%に達する自治体もあるが、宮城県は充足率が年々下がり、2025年には69%にまで低下してしまう。高齢者が増加していることに加え、復興事業の影響で介護分野に人材が回りにくいのが原因と考えられる。

 日本経済がグローバル化に適応し、順調に成長していけば、公的な補助の負担は減る可能性が高いが、そのような方向性にはならない可能性が高い。現状のままでは、人材不足を解消することはかなり難しいだろう。

 - 政治, 社会 , ,

  関連記事

mof03
財務省が歳出削減に本腰?社会保障費に加えて文教費もその対象に

 財務省が歳出削減に本腰を入れ始めている。背景にあるのは日本の財政問題である。消 …

pachinko
生活保護受給者のパチンコを制限する小野市の条例から見えてくるもの

 生活保護を受ける人たちがパチンコやギャンブルに浪費しているのを見つけた市民に通 …

s&p
EUがヒステリーを起こして格付会社に八つ当たり。規制強化を決定

 欧州において格付け会社に対する規制が大幅に強化されることになった。格付け会社へ …

jutakugai
低所得者層でなぜか持ち家比率が急増。そのカラクリはつまらない話だった

 持ち家を購入する世帯が増加していることが総務省の家計調査で明らかになった。20 …

abetoben
アリバイ作り?増税論への牽制?消費増税に関する有識者ヒアリングを8月に集中開催

 内閣府は8月20日、消費税引き上げの影響について有識者からヒアリングする会合を …

ecb
失業率の悪化で国民の不満が爆発。欧州で緊縮策の一時棚上げが急浮上

 景気低迷と失業率の低下に歯止めがかからない欧州で、緊縮策を一時棚上げし、景気対 …

jakaruta
ホンハイやエアアジアなどが相次いで進出。インドネシアは第二の中国に

 人件費の高騰や工場での暴動、領有権問題など、いわゆる中国リスクを避けるため、A …

rirekisho
韓国で学生の「出自」を問う履歴書が問題視。日本と同様の社会構造が浮き彫りに

 就職活動の履歴書に、両親の学歴、財産、本籍などを記載させるという、人権を無視す …

suga
上から目線?の「粛々と」、多用していたのは菅直人元首相

 沖縄の米軍普天間基地の移設問題をめぐり「粛々」という言葉が論争の的となっている …

josei02
女性登用目標値設定など、労働慣行に対する「上からの改革」が急ピッチで進行中

 日本の労働慣行に対する「上からの改革」が急ピッチで進められるようとしている。政 …