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ソニーが最悪のタイミングで増資を発表。もはやグローバル企業ではなくなった?

 

 ソニーが突然、公募増資などによる最大4400億円の資金調達を発表した。業績回復の道筋は見えておらず、しかも総会直後に発表するという、既存株主をないがしろにしたかのような姿勢に海外メディアも含めて批判の声が高まっている。

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 同社は2015年6月30日、公募増資と新株予約権付社債(転換社債型)の発行で最大4400億円を調達する計画を発表した。調達の上限額は公募増資が3200億円、新株予約権付き社債が1200億円。資金はデバイス分野の生産能力増強などに投じる予定としている。
 現在、同社の自己資本は約3兆円なので、増資によって自己資本は最大で10%強増えることになり、既存株主の持ち分は希薄化する。

 前期の決算は1260億円の赤字、その前の期(2014年3月期)は1280億円の赤字であった。2016年3月期については、営業利益3200億円を実現するとしているが、あくまで会社側の予想であり、実現できるのか現時点では定かではない。しかもソニーは過去何度も業績の下方修正を繰り返しており、会社予想に対する信頼はかなり低い状態にある。
 毎期赤字を垂れ流し、業績回復の実績も上げられていない中で増資を発表したソニーの姿勢には内外から疑問の声が上がっている。当日の株式市場は、増資が報じられてわずか数分で10%近くも下落するという異常事態となった。

 来期は業績が回復するという同社の見立てが正しいのであれば、その兆候は第1四半期の決算に表れているはずである。第1四半期の決算を発表してからの方が圧倒的に信頼度が高まるだろう。決算の実績も示さず、しかも、株主総会直後に発表するというのは、株主を軽視していると見なされても仕方がない。

 ソニーはトヨタと並んで、グローバルに注目されていた数少ない日本企業であった。ソニーの業績悪化に対しては、一部の海外株主がコンテンツ事業の分社化を求めるなど、苛立ちを強めている。今回の唐突な増資はこうした株主とのコミュニケーションをさらに難しくするかもしれない。一部の海外メディアは、今回の増資に対して手厳しく批判している。

 株主利益を顧みない一方的な増資は日本市場ではめずらしくない光景だが、グローバル企業であるとソニーということになると話は変わってくる。
 ソニーの経営陣が、日本型ムラ社会の景色だけしか見えなくなっているのだとすると、かなり由々しき事態である。今回の増資はソニーというグローバルブランドの終わりの始まりなのかもしれないという見立ては、極端過ぎると斬って捨ててもよいものだろうか。

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