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橋下氏がとうとう国政進出を表明。首長と議員兼務に潜む危険性とは?

 

 日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長と幹事長の松井一郎大阪府知事は20日、大阪市内で記者団に対し「(首長の国会議員)兼職禁止規定が外れれば、次の参院選へ挑戦する」と述べ、国政へ進出する意向であることを明らかにした。

 現在、地方自治体の首長が国家議員を兼務することは、地方自治法、国会法、公職選挙法の3つで禁止されている。橋下氏は、以前から今回の衆院選については「大阪都構想を最優先する」として出馬しないことを明言していた。
 橋下氏には現在のところ絶大な知名度があるものの、次期衆院選では石原代表が国政に進出してしまう。状況によっては橋下氏の影響力が大幅に低下してしまう危険性があり、自身も国政に身を置くことで影響力を維持したい意向だ。首長との兼務といういわばウルトラCを持ち出したのは、地方行政を投げ出したという批判を回避することが狙いと思われる。

 橋下氏の政治的な戦略そのものは理解できる。だが首長と国会議員の兼務は、後に大きな禍根を残しかねない危険性をはらんでいるのも事実だ。

 各種法律で首長と国会議員の兼務を禁止しているのは、これが悪用されると地方自治が崩壊する危険性があるからである。かつてのナチスドイツのような民主主義を否定する政党が、選挙を通じて合法的に国会で多数を握った場合、地方自治体の首長に国会議員を送り込み、地方自治を骨抜きにすることが可能となってしまう。逆に首長が国会議員になることで、国政が地方行政に左右され、財政に歯止めがきかなくなる危険性もある。
 フランスなど公職の兼務が行われている国もあるが、社会主義に近いシステムを採用し、極度の中央集権が進んでいるフランスと比較することは適切ではないだろう。

 今回、橋下氏という稀代の政治家が、地方からの改革という大義名分を掲げて首長と国会議員の兼務を主張しているだけに事態はさらにやっかいだ。橋下氏個人はその非凡な才能を生かして、兼務の弊害を乗り越えて目的を達成することができるかもしれない。だが後世の凡人政治家が同じように振る舞えるかどうかは保証の限りではないのだ。

 明治維新直後の明治政府は、維新の立役者達によるルールを無視した強引で非民主的な政策も多かった。だが彼らは明治維新という革命を生き抜いた一種の天才達である。ある種のバランス感覚を持ち合わせており、決して道を誤ることはなかった。
 だが昭和に入り、単に試験の成績だけで官僚や軍人になった人たちはただの凡人である。天才的なバランス感覚など持ち合わせているはずもなく、ルール無視の前例だけが踏襲され、史上最悪の決断ともいえる太平洋戦争を引き起こした。

 首長と議員兼務というパンドラの箱を橋下氏が開けることになれば、後年、橋下氏は別な意味で歴史に名を刻むかもしれない。

 - 政治

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