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まずまずだった米4~6月期GDP。実質的に利上げは始まっている

 

 米商務省は2015年7月30日、4~6月期のGDP(国内総生産)速報値を発表した。物価の影響を除いた実質で前期比2.3%増(年率換算)と、市場予想を若干下回ったものの、米国経済の順調な回復を裏付ける結果となった。今後の雇用統計次第だが、年内利上げの環境はさらに整ってきたといえそうだ。

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 成長をリードしたのは旺盛な個人消費。大型自動車の販売が伸びていることなどを背景に前期比2.9%の伸びを示した。住宅も好調で6.6%増となっている。ドル高で輸出の伸び悩みが懸念されていたが5.3%増とこちらも堅調であった。
 一方、民間設備投資は0.6%のマイナス。原油安でエネルギー関連の投資が減ったことが響いた。原油安の影響は着実に浸透しており、米国経済の個人消費シフトがさらに進んでいることがはっきりした。

 米FRB(連邦準備制度理事会)は年内に利上げを実施する方針を明確にしているが、具体的な時期に関する市場関係者の見解は分かれている。前日に公表されたFOMC(連邦公開市場委員会)声明では、時期に関するメッセージはなかったが、今後の雇用統計次第では9月に利上げする可能性も残された格好だ。

 30日のニューヨーク株式市場は、良好なGDPにもかかわらず、ほぼ横ばいのまま取引を終了した。このところ株式市場は冴えない展開が続いているが、これは市場が実質的に利上げが始まったことを織り込んでいる可能性が高い。

 1~3月期のGDPは、厳冬や港湾ストなどの影響で大きく落ち込んだが、雇用統計などの状況から、この落ち込みは一時的なものであることは予想されていた。このため、市場は年内利上げを意識しはじめ、ドル高が進行するとともに、株価の上値が重い状態が続いていた。

 当初は、ドル高と軟調な株価が利上げの障害になるとの見方もあったが、良好な経済指標が出てくるにしたがって、逆に利上げを織り込んだ動きであるとの解釈が増えてきている。
 ドル高は実質的に金融引き締めと同じ効果があり、株価はそれを前提に動いている。名目上の利上げはまだだが、実質的にはすでに利上げが始まっていると考えた方が自然である。

 そうなってくると、利上げの時期はそれほど問題ではなく、むしろそのペースの方に市場の関心は集まってくることになる。
 次の雇用統計が良好だった場合には9月利上げもあり得るが、その場合には、利上げのペースはかなり穏やかなものとなるはずだ。逆に12月の利上げとなれば、インフレへの警戒が出てくる可能性もあり、ペース配分は微妙な状況となる。

 市場がすでに利上げを完全に織り込んでいるのだとすると、現実に利上げが実施された時の株式市場へのインパクトはあまり大きくないだろう。場合によっては、懸念材料の払拭によって上昇に転じるケースも想定しておく必要があるかもしれない。

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