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リクルートがネット通販事業に参入。だが敵は楽天とアマゾンにあらず

 

 リクルートホールディングスは、来年3月をめどにインターネット通販事業に参入する。グループ会社であるリクルートライフスタイルが運営する仮想商店街「ポンパレモール」上に、衣料、家電、食品、日用品、家具など各分野から出店者を募る。当初約500店で営業を開始する見通し。

 リクルートは、旅行予約サイト「じゃらん」(年間6000万人)、飲食情報・予約サイト「ホットペッパーグルメ」(年間4000万人)などの顧客基盤を持つ。各サイトでポイントを共通化し、競合となる楽天よりも高いポイント料率を設定することで、一気にシェアを拡大させたい意向だ(写真はリクルートの新しいロゴ)。

 ネットビジネスの巨人である楽天に、「軽薄短小」ビジネスの元祖であるリクルートが挑むという非常に興味深い構図だが、果たしてリクルートに勝算はあるのだろうか?意外にもそのカギを握っているのは、競合である楽天やアマゾンとの争いではなく、市場そのものの拡大である。

 日本の小売市場の総額は約135兆円、このうち最大手の楽天(1兆1000億円)円とアマゾン(5000億円)の占める割合は1%強である。一方米国の小売市場の総額は430兆円。このうちアマゾン(3兆8000億円)の占める割合は0.8%となっており、思ったほどは高くない。
 日本だけが米国よりも高い割合でネット通販が普及するとは考えにくく、ネット通販市場が今後爆発的に急拡大する可能性は低い。そうなるとリクルートは、楽天、アマゾンとの消耗戦を強いられる。後発組は不利であることを考えるとリクルートは厳しい立場に追い込まれることになる。

 だが市場データには別の見方もある。リアルな大規模小売店舗の市場構造が日本と米国では大きく異なっているのである。
 米国最大のスーパーであるウォルマートの売上げはなんと35兆円もあり、たった1社で全米小売市場の8%を占めている。競合他社の売上げも考慮に入れれば、小売市場のかなりの割合が大規模小売店舗によって占められていることになる。
 ところが、日本の大手スーパーであるイオンの売上げはたったの5兆2000億円。セブン&アイホールティングスは4兆8000億円しかない。大規模小売店舗の市場全体に占める割合は圧倒的に米国よりも低いのだ。

 これは、零細小売業者を有力な票田としていた自民党政権の方針で、大規模小売店舗の出店を規制してきたことが主な原因である(スーパー各社はこの規制があるため規模を拡大できず、高い価格で販売する代わりに店舗数を増やすコンビニという特殊業態が発達した)。
 現在では大規模店舗の規制は事実上撤廃されているが、その間に日本経済が疲弊してしまったため、スーパー各社は積極的な店舗展開が進められない状況となっている。

 もしネット通販がこの間隙を突いて小規模小売店舗から顧客を奪うことができれば、米国よりも高い水準のネット通販シェアを実現することが可能となる。そうなれば各社が食い合いをせず、規模を拡大できる可能性が残っている。一方で、人口減少や所得水準の低下という日本経済の負の側面の影響をもろに受けてしまった場合には、市場拡大が見込めず、ネット通販各社、特にリクルートは消耗戦を余技なくされるだろう。

 リクルートのネット通販事業への参入は、楽天アマゾンvsリクルートの争いではなく、零細小売店vsネット小売業者の争いなのである。

 - 経済

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