ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

キヤノンがデジタルカメラの生産を完全自動化する本質的意味とは?

 

 キヤノンは2015年7月4日、国内のデジタルカメラ生産を自動化するための設備を新設すると発表した。大分キヤノンの事業所内に総合技術棟を建設し、自動化に関する技術開発を行う。2016年内の稼働を目指す。

canonooita

 同社はこれまで、セル生産方式など製造プロセスの改善を行ってきたが、この動きをさらに推し進め、製造プロセスの完全自動化を試みる。生産コストは最大で2割削減できるとしており、これが実現すると生産設備の国内回帰に弾みがつくことになる。
 大分キヤノンには3200人の従業員が雇用されているが、自動化で業務を外れた人材は、開発や保守に振り向け、人員削減は行わないという。

 工場の完全自動化は時代の流れであり、同社の取り組みは、その流れに沿ったものといえるだろう。
 ただ、ビジネス全体を俯瞰的に見た場合、工場の自動化には二つの側面がある。ひとつはITと工場を一体化させ、新しい製品ニーズを作り出すための自動化である。これはインダストリー4.0とも呼ばれており、ドイツや米国が先行している。
 一方、中国などコストの安い新興国に対抗するための自動化もある。中国など新興国における現地生産を国内生産に切り替えるという今回のキヤノンのケースはこれに該当することになる。

 コスト削減を目的とした自動化の場合、それが成功するためには、需要過多の状態が継続している必要がある。つまり莫大な需要はあるが、付加価値が低く、通常の国内生産では採算が合わないので、自動化を実施するという考え方である。

 だが、世界的に見てデジタルカメラは完全な縮小市場である。デジタルカメラの市場規模は1年間で35%も縮小、レンズ交換式カメラは17%減少した。
 莫大な製品需要があれば、人海戦術を使った中国での大規模生産も採算にあうはずであり、わざわざ国内に自動化工場を建設するメリットは少ない。

 縮小市場への対応策という意味では、正しい決断かもしれないが、これが、今後の日本メーカーにおける物作りのモデルケースとなるのかはまた別問題である。重要なことは、生産プロセスではなく、グローバルな市場で「売れる」製品を開発することである。

 - 経済 , ,

  関連記事

apple
注目のアップル四半期決算。減益となった最大の理由は利益率低下と研究開発費の増加

 米アップルは4月23日、注目の第2四半期決算(2013年1月~3月期)を発表し …

siemense
GEやシーメンスが相次いでソフト会社を買収。IoT陣営作りは最終段階?

 IoT(モノのインターネット)時代の到来を見据え、世界レベルの業界再編が相次い …

no image
震災復興費は大手メーカーが流用していた。日本の製造業はもはや「保護産業」

 復興予算の流用や付け替えが問題となっているが、その流用先に大手メーカーが多数含 …

jinmingen
人民元のロンドン直取引を通じて英中が急接近。チベット問題は完全に封印?

 英国のキャメロン首相がチベットのダライ・ラマ14世と会談して以来冷え込んでいた …

gabanansu
ないよりはマシ?安倍政権が成長戦略に企業統治を盛り込む方針を表明

 安倍首相は2014年6月3日、経団連の会合で講演し、コーポレートガバナンスを成 …

jutakugai
低所得者層でなぜか持ち家比率が急増。そのカラクリはつまらない話だった

 持ち家を購入する世帯が増加していることが総務省の家計調査で明らかになった。20 …

nanba
DeNA創業者の南場智子氏が現場復帰。社長復帰説がくすぶっているが

 夫の看病を理由にDeNAの社長を退任し、近頃、フルタイムの場復帰を宣言した南場 …

no image
過去最高益。業績絶好調のトヨタが抱える、将来への深い悩み

 トヨタ自動車は2014年5月8日、2014年3月期の決算を発表した。本業のもう …

toyotamatuda
トヨタとマツダが資本提携。中堅自動車メーカーはすべてトヨタ系列に?

 トヨタとマツダが資本提携することになった。相互に約500億円を出資し、共同で新 …

factoryline
米国だけでなく欧州でも生産拠点国内回帰の動き。だが両地域の環境は正反対

 米国や欧州で、中国や東欧など新興国に建設した工場を撤収し、国内生産に回帰する動 …