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ソフトバンク後継者のアローラ氏が私財を投じて同社株600億円分取得へ

 

 ソフトバンクグループは2015年8月19日、孫正義社長の後継者であるニケシュ・アローラ副社長が、同社の株式600億円分を取得すると発表した。私財を投じ、孫社長に次ぐ持ち株を保有することで、全力で業務にあたる覚悟を示した。

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 アローラ氏は今年6月、次期社長の最有力候補という形で同社の副社長に就任した。現在は自社株を保有していないため、今後半年かけて市場から購入する。
 ソフトバンクの時価総額は約9兆円であり、今の価格で600億円分を購入すると持ち株比率は約0.7%になる。個人としては、現在、筆頭株主となっている孫氏に次ぐ株主となり、正式に社長に就任すれば、事実上アローラ氏はオーナー社長ということになる。

 アローラ氏は孫氏が次期社長候補としてグーグルから引き抜いた人物。同社は昨年度、アローラ氏に総額165億5600万円の報酬を支払っている(入社の契約金含む)。高額報酬が大きな話題となったが、その高額報酬の3.5倍の金額を自社株に投資することになった。

 株式会社という構造上、経営者は株主との間で利益相反を起こしやすい。自身はリスクなしで高額報酬をもらい、放漫経営の失敗による損失は株主に負わせることが原理的に可能となるからだ。

 こうした事態を防ぐために社外取締役など、コーポレートガバナンスの整備が重要といわれている。だが東芝の不正会計の例を見ても分かるように、形だけ社外役員を入れても、経営者にその気がなければうまく機能しない。
 最強のコーポレートガバナンスは、経営者の利害が株主と一致していることである。経営に失敗すれば、自らの資産も失うというプレッシャーは想像以上に大きい。トヨタやソフトバンクなど、超優良企業にオーナー社長が多いのはそのためである。

 ソフトバンクは孫社長のカリスマ的指導力でここまで伸びてきた企業であり、どのような人物を後継者に据えても、軽量級との印象はぬぐえないという問題があった。しかしアローラ氏は、グーグル出身というブランドに加え、会社の成長に自らの資産を賭けるという姿勢を明確にしたことで、こうした懸念は一気に払拭された可能性が高い。

 日本企業の経営者の報酬はグローバル化の流れによって、このところ高額化が進んでいるが、肝心の業績はグローバルに見るとお寒い限りである。役員報酬だけがグローバル基準に沿って上がっていくというちぐはぐな状況になりつつある。

 孫氏は役員報酬を1億円3100万円しか受け取っていない。一方、日本の上場企業で1億円以上の報酬を受け取る役員の数は400人を突破している。この中で孫氏と同等の働きをしている経営者は極めて少ないはずだ。

 孫氏の年収は実は100億円を超えているのだが、そのほとんどは自社株からの配当などである。業績にかかわらず一定額を会社から受け取るのではなく、経営に成功してはじめて獲得できる報酬がほとんどを占めているということになる。600億円もの自社株を保有するアローラ氏も同じような状況となる。

 今回のアローラ氏による自社株購入は、上場企業の役員における高額報酬の受け取り方のひとつのモデルケースといってよいだろう。

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