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共和党トランプ候補がとうとう日米安保を糾弾。米国は変わりつつある?

 

 放言を繰り返し、米国の大統領選を大混乱させているドナルド・トランプ氏が、とうとう日米安保に言及した。ただトランプ氏の発言の背景には、共和党支持者のホンネと米国が置かれた環境の変化があり、決して無視することはできない。

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 トランプ氏は、不動産で財を成した大富豪であり、米国ではかなりの著名人である。豪快な性格で知られ、マイノリティに対する差別発言もしばしばだ。過去には「オバマ大統領はアフリカ生まれではないか」と発言し物議を醸したこともある。

 当初、泡沫候補という扱いだったが、実際に選挙戦が始まると、共和党の候補者の中では堂々のトップとなり、誰もトランプ氏を無視できない状況となっている。

 日米安保に関する発言が出てきたのは、2015年8月21日のアラバマ州での演説会。日本が攻撃を受けた場合は米国は日本を助けるが、逆はないという現在の日米安保条約について厳しく批判したという。

 トランプ氏は大衆先導型であり、こうした発言もその文脈で理解した方がよいと考えられる。だがトランプ氏の発言は、エスタブリッシュメントに属さない、一般的な共和党支持者のホンネを代弁しているともいえる。

 日米安保の片務性については、日米の圧倒的な地位の違いや、歴史的経緯などいくつかの要因が複雑に絡んでおり、ワシントンの政治エリートの中でのみ処理されてきた高度に政治的な問題といってよい。こうした問題が、大統領選挙というポピュラーな場で、しかもトランプ氏のような人物を通じて取り上げられたことは、注目すべき事態といってよいだろう。

 日本国内の対米認識は、現実を直視しない嫌米的なものか、楽観論に過ぎる親米的なものに二極化している。だが米国の日本に対する認識は、中国の台頭をきっかけに確実に変化している。特にオバマ政権は、史上最大規模の軍縮を実施していることもあり、日本に大量の米軍を駐留させておくことについて懐疑的だ。

 地政学的な環境の変化もこれを後押ししている。米国はサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国となっており、トータルではエネルギーの自給が可能となった。
 もはや中東の石油に依存する必要はなく、全世界の制海権を維持する必要性も薄れている。中国が敵対的でなければ、アジア太平洋地域の制海権が中国にシフトしても、米国はあまり困らない。
 しかも、米国は世界経済の中心であり、人口は増え続け、グーグルやアップルなど画期的なイノベーション企業が続々登場している。米国は、長期にわたって持続的な成長が期待できる環境にある。

 トランプ氏の発言については、米国が他国のことをまったく考慮しなくてもよい国になりつつあるという現実を踏まえた上で理解すべきであろう。米国は今後、自らの利益をより強く主張してくる可能性がある。
 米国が本当に日本と距離を置くような事態となれば、東シナ海の秩序が激変することは間違いなく、中国の台頭を他人事のように傍観することはできなくなる。また一部の政治家による国際的なコンセンサスとは異なった歴史認識の表明に対して、米国が寛容に見守るといったこともなくなるだろう。

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