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公的年金の株式買い入れ余力が大幅に低下。今後の運用成績はどうなる?

 

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2015年8月27日、4~6月期の運用実績を発表した。収益額は株高や円安を背景に2兆6489億円、収益率はプラス1.92%、運用資産額は141兆円1209億円となった。ただ、国内株式の割合は目標値に迫っており、買い入れ余力が減少しつつある。

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 安倍政権は、今後のインフレ進行を見越して、公的年金の運用方針見直しを進めてきた。2014年10月にまとまった新しい運用方針では、国債の比率が60%から35%に引き下げられ、国内株の比率は12%から25%に引き上げられた。外国株を合わせると株式の比率は50%に達する。

 運用方針見直しはインフレ対策という面もあるが、年々苦しくなる年金財政への対応という意味もある。年金は徴収より給付の方が多く、運用に回すための積立金は毎年3兆円から4兆円ずつ減少している。国債中心のリスクの低い運用では、運用資金が枯渇してしまう可能性があり、ハイリスク・ハイリターンな商品である株式へのシフトが進められた。

 運用方針見直しと前後してGPIFは国債の売却と株式の買い入れを進めており、株式市場には推定で数兆円の資金が流れ込んだ。このところの株価上昇はGPIFの買いによるところが大きい。

 昨年度、GPIFは15兆3000億円の運用益を上げており、当初の目論見通りに進んでいる。ただ今年の7~9月期については、中国ショックによる株価下落で評価損が発生する可能性がある。しかも、株式の組み入れ比率は目標の25%に近づいており、これ以上の株式買い入れは難しい(ルール上は、さらに買い入れることも可能だが)。

 株価の低迷が長引けば、GPIFの運用成績にも大きく響いてくる。アベノミクスによる株高は、年金財政とセットになっていることを考えると、今後はアベノミクスの評価項目に年金財政が加わってくるかもしれない。

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