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ユニクロは客単価の上昇路線を貫徹できるのか?

 

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは2015年9月2日、8月の販売動向を発表した。既存店売上高は、前年同月比2.5%増と3カ月ぶりにプラスとなった。
 同社は、昨年から経済環境の変化に伴い値上げを行っているが、これが成長のブレーキになるのではとの懸念が出ていた。とりあえず3カ月連続のマイナスは回避したが、秋冬物は商戦が始まったばかりであり、状況は不透明だ。

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 同社は、昨年の秋冬物から順次、商品の値上げを行っている。円安と原材料費の高騰で、既存の価格体系ではコストの吸収が難しくなったからだ。昨年は客単価の上昇が効果を発揮して、前年同月比で売上高がプラスになる月が続いた。2015年2月の中間決算の時点では、通期(2015年8月期)の売上高見通しを上方修正している。

 ところが今年の春以降、その傾向に変化が見られるようになってきた。既存店売上高が前年同月比でマイナスになる月が目立つようになり、客数の落ち込みも顕著となった。
 単価の上昇で客数が減少するのはある程度、やむを得ないが、同社の成長スピードを維持するためには、単価は上がっても、あまり客数が落ちない状況を維持する必要がある。8月は売上高こそ2.5%のプラスとなったが、客数は5%減少している。

 同社に限らず、製品の原材料を輸入に頼る企業にとっては、円安が悩みの種となっており、4月以降、値上げに踏み切るメーカーが続出している。一方、労働者の実質賃金はマイナスが続いており、家計の購買力は下がる一方だ。消費者の懐が寂しくなる中での値上げは売上減に直結する可能性がある。

 ユニクロは低価格だけを武器にしているわけではないが、コストパフォーマンスの良さは、同社のブランド力の根幹となっている。消費があまり伸びない中で、原材料費だけが高騰する状況が続くと、同社の商品戦略そのものにも影響が出てくる。

 このままコストパフォーマンス重視の商品戦略を維持するのか、さらに単価の高い高級路線に舵を切るのか、同社は難しい選択を迫られるだろう。同社の成長路線は、いよいよ正念場を迎えている。

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