ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

8月の雇用統計は良好と解釈するのが自然。利上げの判断材料は市場の耐性のみ

 

 米労働省は2015年9月4日、8月の雇用統計を発表した。 非農業部門の雇用者数は前月比17万3000人増となり、市場予想を下回った。ただ失業率は大幅に低下し、賃金の上昇は鮮明になった。9月の利上げを強力に後押しする程ではないが、良好な指標であることに変わりはなく、市場は判断に迷っている。

usakoyoutoukei201508
 米国では 新規雇用者数の増加が20万人を超えていると好景気とみなされる。8月についても20万人を超えるとの見方が大勢を占めており、市場予想を上回る結果が出れば9月利上げが一気に現実味を帯びると考えられてきた。
 だがフタを開けてみると、市場予想を下回り、5カ月ぶりの低水準となった。製造業などで減少が目立ち、中国の景気減速やドル高で雇用が抑制された可能性が指摘されている。

 もっとも、6月と7月の数値は上方修正されており、3カ月を平均すると22.1万人となる。また、失業率が5.1%と大きく改善しており(7月は5.3%)、いよいよ完全雇用に近づいている。平均時給も前月比で0.3%上昇した。統計全体を見れば、雇用は堅調と解釈した方が自然だろう。

 FRB(連邦準備制度理事会)は年内利上げを明言しているが、9月に利上げを実施してしまいたいというのがホンネだろう。わずかな利上げ幅であっても、仮に景気が腰折れするような事態となった場合には、金利を下げるという政策オプションを確保できるからである。また予想外にインフレが進んでしまうリスクも回避できる。政策当局者にとってオプションが多いことは何より重要なことである。

 中国株ショックで市場は大荒れとなっているが、おそらく中国問題はトリガーのひとつに過ぎない。年内利上げを見込みドル高が進展しており、これが金融引き締め効果をもたらしている。実質的に金利の引き上げは始まっていると解釈すべきであり、それゆえに株価も下落している。

 FRBとしては、名目上の金利引き上げがさらに株価下落を呼び、それが実体経済に波及するシナリオを恐れている。株価に対するインパクトが最終的な判断の分かれ目となるだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

gpifpotofori2015
株式市場で圧倒的な存在感を示す公的年金。まだまだ買い余力はあるが・・・

 株式市場における公的年金の存在感が大きくなっている。債券から株式へのポートフォ …

english
政府の有識者会議で英語教育推進の動きが活発に。小学校での正式教科格上げ論も

 政府の有識者会議において英語教育に関する議論が活発になってきている。これまで教 …

beijing
中国経済の実態を表す「本物」の経済統計が発表。格差は世界最悪の水準

 中国経済の本当の姿を示す調査結果が市場で話題となっている。四川省の大学が失業率 …

no image
ソフトバンクによるTモバイル買収が白紙に。時間をかけて再度買収を画策か?

 ソフトバンクの子会社で米携帯電話3位のスプリントは、TモバイルUSの買収を断念 …

keidanrenbiru
影響力低下が著しい経団連。天下国家論ではなく、特定業種の利益を代弁

 このところ経団連の影響力低下が著しい。かつては政界に絶大な影響力を行使し、経団 …

kabuka
アベノミクスによる株高はいつまで続くのか?もしバブルだというならこんなレベルじゃない

 アベノミクスによる株高に証券市場は沸いている。経済誌などでは「本格的な上昇相場 …

keizaimitoshiimf
IMFの最新世界経済見通し。ドル高と原油安で米国成長率を下方修正

 IMF(国際通貨基金)は2015年4月14日、最新の世界経済見通しを発表した。 …

toshibakojo
東芝の債務超過が確定。だが、この期に及んでも正式な決算は発表できず

 東芝が債務超過に陥っていることがほぼ確定的な状況となった。唯一の大型収益事業で …

kanmintaiwa
企業に設備投資を要請する官民対話。企業の財布は便利な財源?

 政府は2015年10月16日、企業に設備投資を促すための官民対話の初会合を開催 …

abedabos201402
法人税引き下げが現実的に。だが税制上の不公平が解消されなければ効果は薄い

 安倍首相がダボス会議において法人税の実効税率の引き下げに言及したことで、政府与 …