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東芝がようやく決算を発表。だが根本的な問題は何も解決していない

 

 不正会計問題で決算発表を延期していた東芝は2015年9月7日、2015年3月期決算をようやく発表するとともに、今後の経営体制について説明した。

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 最終的な売上高は前期比2.6%増の6兆6558億円、営業利益は33.7%減の1704億円、最終損益は378億円の赤字となった。前期の当期利益は600億円だったので約1000億円の減額となった。また不正会計が明るみに出る前の利益予想は1200億円の黒字であり、ここを基準にすると約1600億円の減額ということになる。過年度における決算の修正は、損益の下方修正額が税引き前の合計で2248億円となった。

 東京証券取引所は9月中に東芝を「特設注意市場銘柄」に指定する見通し。これは、株式の上場を維持しながら、内部管理体制の改善を促すというもので、対象銘柄に指定された企業は、定期的に東証に対して改善報告書を提出する必要があるが、取引は継続される。

 同社は、今回の決算発表に併せて、社外取締役の増員などを柱とする新ガバナンス体制の構築を表明している。だが、上場企業がいとも簡単に不正会計を行うという異常な事態を根本的に解決できる内容とは言い難い。

 不正会計を調査した第三者委員会は、経営トップによる利益至上主義や従業員に対する目標達成のプレッシャー、内部統制の無効化などが不正会計の原因であるとしている。
 同社はこうした事態を受けて、社外取締役を増員するとともに、執行側の監督機能を強化するため、取締役会の役割を「再定義」するとしている。言い換えれば、これまでの取締役会は、自分達が何をしているのかよく理解できていなかったということになる。

 東芝は不正会計発覚以前も形式的にはグローバルスタンダードに準じたガバナンス体制を構築していたが、不正会計はいとも簡単に行われた。
 もし同社が説明するように、取締役会の定義があいまいだったことが原因なのだとすると、取締役会の役割を理解できていなかった取締役が、引き続き、新経営体制の舵取りをすることは根本的に矛盾する。客観的に見て、不正会計を引き起こした従来の体制は変わっていないと見る方が自然である。

 今回の措置が、基本的な経営体制の維持にあることは明らかであり、市場からの信頼は確実に低下するだろう。
 資本市場に対する信頼性の低下は、目に見えない形で、しかもジワジワと経済を蝕むことになる。そう遠くない将来、オリンパス問題や東芝問題が日本市場の大きな転換点だったと回顧される時代がやってくることになるかもしれない。

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