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中国がチベット自治区50年式典を開催。中国による既成事実化が進む

 

 中国は2015年9月8日、「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」に続いて「チベット自治区成立50年」を記念する式典をチベット自治区の中心地ラサで開催した。海外メディアの取材は厳しく制限され、中国よるチベット政策の成果が強調された。

chibeto50

 チベットは1950年の人民解放軍によるチベット侵攻以後、基本的に中国の統治下にある。これに反対するチベット人による独立運動が勃発したが、中国は武力でこれを弾圧、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世はインドに亡命し、現地でチベット亡命政府を樹立している(チベット動乱)。

 中国は、チベット独立を求める市民に対する弾圧を繰り返す一方、多額の開発資金を投入し、アメとムチの統治を行ってきた。今回の式典は、中国による統治が成功していることを内外に示す意図がある。

 式典はチベット仏教の聖地であるポタラ宮殿前の広場で行われた。中国共産党からは、党序列4位で、少数民族担当の兪正声氏が出席し「住民の生活水準は大幅に向上した」と述べ、中国によるチベット政策の成果を強調した。続いて、人民解放軍がパレードを行い、中国の統治下にあることをアピールした。

 実は今年はチベット自治区成立50年であると同時に、ダライ・ラマ14世の後継者であるパンチェン・ラマ11世が行方不明になってから20年の節目でもある。中国当局は、パンチェン・ラマは普通に暮していると説明しているが、本人が公の場に姿を現したことはない。

 ダライ・ラマ14世はノーベル平和賞を受賞しており、かつては中国の人権弾圧を象徴する人物だったが、中国の経済的な台頭で状況は変わりつつある。かつて中国の人権問題に対して厳しく批判していた欧米各国は、中国との友好関係を最優先し、チベット問題を完全に封印している。
 文化人らの対応も変わってきている。今月、中国で予定されていた米ロックバンド「ボン・ジョヴィ」の初公演が中止となった。ボン・ジョヴィがダライ・ラマをイメージさせる演出を計画したことがその理由といわれているが、このようにチベット問題を積極的に取り上げる文化人も最近ではかなり少なくなっている。

 ダライ・ラマ14世は、自らの生まれ変わりを後継者に認定する「転生制度」は自分の代で終わらせる意向を示しているが、これは事実上、チベットの独立を断念したものと受け止められている。中国による既成事実化が功を奏した格好だ。

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