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英労働党の新党首は何と強硬左派。米大統領選挙にも飛び火か?

 

 英国の野党・労働党は2015年9月12日、臨時党大会を開催し、ベテラン下院議員であるジェレミー・コービン氏を党首に選出した。コービン氏は、反緊縮、格差是正、反戦などを訴える強硬左派。労働党は1997年に首相に就任したブレア氏によって中道路線に転換したが、コービン氏の党首就任によって、再び路線転換が行われる可能性が出てきた。

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 英国の最大野党である労働党は、今年5月の総選挙で保守党に大敗。党首だったミリバンド氏は辞意を表明、党の立て直しのため党首選挙が行われた。労働党は、かつては労働組合を支持母体とした左派色の強い政党だったが、ブレア元首相による方針転換以後、中道路線を採用してきた。前党首のミリバンド氏も45歳と若く、インテリ家庭の出身で、まさに中道路線を象徴する人物であった。

 一方、新しく党首に選出されたコービン氏は、労組出身の66歳。民主社会主義を標榜し、公共事業や鉄道の国有化、反戦などを主張してきたゴリゴリの左派である。同氏は、反緊縮や格差是正を訴え、党内の6割近い支持を得た。
 選挙前、ブレア元首相は、コービン氏が党首になれば再び選挙で敗北するとして中道路線を継承するよう異例の呼びかけを行ったが、党内の理解は得られず、結局コービン氏が圧勝する結果となった。

 現在、英国ではEU政策をめぐって激しい議論となっているが、従来の労働党はEU残留を主張していた。だが、コービン氏はEUについて、自由競争による弊害が大きいとして批判的なスタンスである。最終的に党の方針がどうなるかは分からないが、場合によっては対EU政策が転換する可能性も出てきた。
 一方、コービン氏は、移民問題については積極的に支援する方針を示している。ただ、反EUと移民受け入れは相性が悪いため、最終的な方向性がどうなるのかは流動的だ。

 強硬左派であるコービン氏の党首就任は、どうしてもギリシャのチプラス首相とイメージが重なる。チプラス首相は公式の場でもノーネクタイで通していることで有名だが、コービン氏もノーネクタイが売りの政治家だ。
 米国では、米民主党の大統領候補指名争いにおいて、チプラス氏と同様、社会主義者を自称するサンダース上院議員が躍進している。アイオワ州の世論調査では、何とサンダース氏の支持率が本命候補であるクリントン前国務長官を上回った。

 各国で左派勢力が増大している背景には、グローバル経済の進展とそれに伴う格差拡大への批判がある。労組など従来からの支持層に加え、経済的に苦しい立場にある若年層の支持が重なったことが大きく影響しているが、本来、両者の利害はあまり一致しない。一連の政治的な動きが、単なるポピュリストによる一過性のブームなのか、本質的な地殻変動の前兆なのかは、現時点では何ともいえない。

 少なくとも、グローバル化の進展によって、各国の国内政治における利害関係がこれまでより複雑化しているのは間違いない。政治的な不透明感は高まったと考えてよいだろう。

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