ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

脱原発のモデルといわれたドイツで電気代高騰。日本人が知っておくべきこととは?

 

 再生可能エネルギーへの転換を旧ピッチで進め、日本における「脱原発」論のモデルともいわれたドイツで、来年から家庭の電気料金が大幅に値上げとなる。

 ドイツの平均的な電気料金は1キロワットあたり約21円程度といわれている。値上げ幅は約10%なので1キロワットあたり23円程度になる計算である。今回の値上げの直接的な原因は再生可能エネルギーの普及促進に向けて導入された賦課金が47%増となること。
 ただ、もともとドイツの電気料金は世界的にみてもかなり高く(日本はもっと高い)、今回、さらに値上げが実施されることから、来年度の連邦議会選挙の争点にもなりつつある状況だ。

 日本では脱原発論のモデルとしてドイツの事例がよく引き合いに出されている。たしかにドイツは再生可能エネルギーへの転換を積極的に進めており、再生可能エネルギー買い取りのためのコストを利用者に転嫁している。
 だが日本並みに電力が高いことだけを理由に、ドイツと比較した議論を行うのは少々危険である。

 ドイツはエコロジー活動が盛んな国ではるが、現時点においても原子力発電所を稼動させている。また再生エネルギーへの転換を急ぐのも、質の悪い石炭火力発電に多くを依存している現状を変革するという意味合いが大きい。
 しかもドイツは電力を完全に自由化しており、国内には1000社近くの電力会社がある。利用者は様々な電力プランから自由に電気を選ぶことができる。地域やプランにもよるが、平均21円程度の電気料金に対して、半額の12円程度の電気を選択することも可能なのだ。

 電力の供給についても柔軟な姿勢だ。フランスとドイツでは状況に応じて電力の売り買いが頻繁に行われており、自国の供給源だけに限定されているわけではない。東欧地域との売買電などにより、ドイツが電力マーケットのハブになれるという効果もある。

 日本人は、独占で競争のない電力会社からドイツよりもさらに高い値段で電力を買わされている(日本の電気料金は1キロワットあたり25円程度)。電力会社を選択する余地がなく、エネルギー政策の柔軟性もドイツとは比較にならない。
 電力の自由化は十分な競争インフラがあって初めて機能する。また脱原発についても、柔軟な供給体制の確立がないままの実施にはかなりの危険を伴う。
 要するに日本はすべての面でまだ未熟であり、一気に電力を自由化したり、突然脱原発を実施するようなレベルには達していないのだ。何の準備もなく、突然自由化したり、脱原発を強行して、何かトラブルが起こったら大騒ぎするというような愚を繰り返してはならない。
 エネルギー政策が次期総選挙でどの程度の争点になるのかは明らかではないが、日本人はこのことをまず理解しておく必要がある。

 - 政治, 経済

  関連記事

reit201405
インフレ期待からREITの値動きが好調。一部からはプチ・バブル化懸念の声も

 REIT(不動産投資信託)の値動きが堅調だ。このところ日経平均は低迷が続いてい …

usakoyoutoukei201401
米1月の雇用統計は今ひとつ。失業保険給付打ち切りが失業率を下げた可能性が高い

 米労働省は2014年2月7日、1月の雇用統計を発表した。先月の雇用統計があまり …

taima
高樹沙耶容疑者の逮捕で医療用大麻への関心が高まっているが・・・

 大麻取締法違反で逮捕された元女優の高樹沙耶(本名:益戸育江)容疑者が、医療用大 …

nichibeikokki
米国の対日世論調査から考える、今後の対日感情の変化と中国の影響

 米国の調査機関であるピューリサーチセンターは2015年4月7日、日米の相互信頼 …

no image
ここまでくるともう病気。解散発表当日にオバマ大統領にTPP参加方針は変わらずと電話

  野田首相は国会の党首討論会で解散を表明した14日夜、オバマ米大統領と約10分 …

Rare earth
実は厄介者?世界の9割を独占していた中国がレアアース輸入に転換した背景とは?

 世界シェアの90%を握るといわれている中国のレアアース生産が曲がり角に来ている …

menkyo
韓国で自動車免許を取得する中国人が急増中。日本人の利用も

 最近、韓国の自動車教習所で免許を取得する中国人が急増しているという。自動車免許 …

shupaku
北朝鮮大幅譲歩の背後にある中韓の蜜月関係と米国の影響力低下

 北朝鮮をめぐる国際情勢が大きく動き始めている。背景にあるのは、中国の台頭と米国 …

roujin03
イタリアで若者のために高齢者の早期退職を促す動き。だが社会全体の負担は増加?

 改正高齢者雇用安定法の施行によって、日本では生涯を通じて働くことが可能になって …

tokyofukei001
政府が対日投資拡大を議論する有識者会議をスタート。最大の課題は?

 政府は2014年2月27日、海外から国内への直接投資を拡大させるための具体策を …