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8月の消費者物価指数。コアはマイナス、コアコアはプラスとちぐはぐな状況に

 

 総務省は2015年9月25日、8月の消費者物価指数を発表した。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でマイナス0.1%となり、とうとう物価下落に転じた。
 一方、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」はプラス0.8%と上昇ペースを速めている。コア指数がマイナスに転じたことで、量的緩和策は振り出しに戻ってしまったが、足元では物価上昇が本格化する兆しも見え始めている。

 bukkajoushou コア指数は、6月がプラス0.1%だったが、7月に0.0%となり、8月にとうとうマイナスに転じてしまった。コア指数の下落が著しいのは、電気料金やガス代などエネルギー関連の価格が下がっていることが主な要因。原油価格の大幅な下落が影響している。
 一方、エネルギーの影響を除いたコアコア指数は、6月が0.6%、7月0.6%、8月が0.8%と上昇傾向が著しい。円安による輸入物価の上昇に耐えられなくなり、事業者が積極的に価格転嫁を行っている状況が推察される。

 東京大学が中心となって作成した東大物価指数も4月以降、顕著な上昇を示しており、コアコア指数と同じ傾向を示している。同指数は、全国の300店舗におけるPOS(販売時点情報管理)システムのデータを用いているため、ほぼリアルタイムで物価の動向を把握できる。食料品を中心に値上げが相次ぎ、全体的な物価を押し上げている。

 これまで安倍政権では、順調に物価が上昇していると説明してきたが、その多くが円安によるエネルギー価格の上昇によるものであった。実体経済はデフレであり、エネルギーだけが値上がりするいびつな構造だったのである。
 だがここにきて、エネルギー価格が大幅に下落したことで、これまでの物価上昇分が剥落する結果となっている。一方、円安が相当程度まで進んできたことで、ようやく本格的な物価上昇が始まる兆候が見えてきたと考えることも可能だ。

 コア指数とコアコア指数との乖離はこうした状況が引き起こしているわけだが、もし日銀が追加の量的緩和策に踏み切れば、円安がさらに進行し、物価上昇に弾みがつく可能性が出てきた。ただ、中国経済の失速もあり、全世界的に景気の足取りが重くなっている。輸出の伸びが期待できない中で追加緩和に踏み切っても、物価だけが上がる結果となり、実質成長率の上昇にはあまり寄与しないかもしれない。

 これまで安倍政権が切望してきたデフレ脱却は、円安によって実現の可能性が見えてきた。一方で、仮にデフレ脱却が見えてきたとしても、それによって実体経済が成長するシナリオはますます描きにくくなっている。日本経済は、何とも皮肉な状況に陥りつつある。

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