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7~9月期GDPのマイナス予想で高まる追加緩和期待。だが日銀のジレンマは大きい

 

 7~9月期のGDP(国内総生産)がマイナス成長となる可能性がさらに高まってきた。2四半期連続のマイナスということになると、景気後退という認識が鮮明になってくる。日銀に対する追加緩和期待が高まっているが、日銀が抱えるジレンマは大きい。

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 経済産業省が2015年9月30日に発表した8月の鉱工業生産指数(季節調整済)は前月比マイナス0.5%と2カ月連続で前月を下回った。中国経済が減速していることから、中国向けの生産が大きく落ち込んだ。生産が落ち込む一方で、在庫は増えており、在庫の増加がさらに生産を抑制するという負の連鎖が指摘されている。

 これに先だって発表されていた7月の機械受注統計も振るわなかった。主要指標である 「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)は前月比3.6%減と予想外の大幅減となっている。機械受注は先行指標であり、その後の生産動向との関係性が深い。8月の機械受注が大幅にプラスとならなければ、その後の生産も冴えないものとなる可能性が高い。

 中国経済の失速は以前から分かっていたことであり、特に驚く話ではないが、気になるのは消費の動向である。4~6月期のGDPでは、輸出に加えて個人消費も前期比マイナス0.7%と低迷している。
 8月の消費支出は前年同月比2.9%のプラスとなったものの、6月は2.0%のマイナス、7月は0.2%のマイナスだったことを考えると、状況が大きく好転しているというわけではない。猛暑によってエアコン需要などが伸びたという特殊要因もある。

 個人消費が低迷しているのは、皮肉にも足元で物価が上昇基調を強めているからである。8月の消費者物価指数は、代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」が前年同月比でマイナス0.1%となり、とうとう物価下落に転じた。
 しかし「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」はプラス0.8%と上昇ペースを速めている。今年に入って円安が進んだことで、輸入物価が上昇し、値上げを実施する事業者が増えたことが主な要因である。コア指数はデフレなのに、生活実感に大きく影響するコアコア指数はプラスという厄介な状況といってよい。

 7~9月期GDPのマイナス予想が高まってくるにつれて、市場では日銀の対応に注目が集まっている。10月は今週と月末に2回の金融政策決定会合が予定されており、市場関係者の一部は10月の追加緩和を予想している。

 足元の景気動向を考えると、追加緩和に踏み切る可能性はそれなりに高いと思われるが、このタイミングで追加緩和に踏み切れば、コアコア指数の上昇を加速させる可能性が高い。
 デフレ脱却はアベノミクスの象徴だったが、実質賃金の低下で消費が低迷しつつある中での物価上昇は景気のマインドをさらに冷やしかねない。日銀にとって今ほど動きにくいタイミングはないかもしれない。

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