ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

TPP交渉がようやく決着へ。各国の国内事情から実質的には来年以降のスタート

 

 米アトランタで開催されていたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の閣僚会合が5日閉幕し、交渉に参加した12カ国は大筋で合意に達した。交渉のスタートから約5年、日本が参加してからは2年を経て、ようやく妥結にこぎ着けた。

tppatlantagoi

 TPPにおける交渉の論点は、関税に関するものと、国際的なルールの統一に関するものの二つがある。関税については原則として撤廃することを目指しており、統一ルールについては、各国の個別規制をどれだけ標準化できるのかという部分が重要となる。

 日本は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖を「重要5項目」とし、関税撤廃の例外にするという方針を掲げて交渉に臨んだ。現実には、関税撤廃がTPPの基本原則なので、猶予期間の設定や代替措置をどうするのかという部分が具体的な交渉内容となる。

 コメについては、1キロあたり341円という現行の関税は維持されることになった。一方、米国向けには5万トン、オーストラリア向けには6000トンの輸入枠を設定する。この数字は年々拡大し、最終的に米国向けは7万トン、オーストラリア向けは8400トンになる。
 牛肉の関税は現行では35.8%となっているが、協定発行時にはこれを27.5%まで引き下げることになった。さらに関税率は段階的に引き下げられ、10年後には20%に、16年後には9%になる。
 乳製品については、バターと脱脂粉乳について、あらたな輸入枠を設定する。当初は年間6万トン、6年目以降は7万トンまで増やす。一方で、事実上の貿易統制となっていた国家貿易の枠組みは維持されることになった。

 自動車については、米国が設定している現行2.5%の関税は15年目から段階的に削減が始まり、25年後には完全撤廃されることになった。自動車部品については8割以上の関税が即時撤廃となる。

 米国と新興国の対立が激しかった、バイオ医薬品の開発データの保護期間については、米国が譲歩し8年で決着が付いた。当初、米国は12年を主張、新興国やオーストラリアは5年を主張していたが、間を取った形だ。

 交渉はこれで終了したが、今後は各国の国内手続きというカベを超えなければならない。最大の懸念材料は通商交渉に絶大な権限を持つ米国議会である。
 米国は、6月に大統領貿易促進権限(TPA)を可決しており、批准の手続きそのものはかなり簡素化された。ただ、TPAでは、大統領が署名する90日前までに議会に通告する必要があると規定しており、どんなに早くても国内手続きは来年以降となる。

 だが年明けからは大統領選が本格的にスタートしてしまうため、米国の政局は流動的になる。場合によっては批准が大幅に遅れる、あるいは最悪のケースとして批准できないという可能性もゼロではない。実質的にTPPが動き出すのは、おそらく再来年のタイミングとなるだろう。

 - 政治, 経済 , ,

  関連記事

gwcvn73
握手と蹴り合い。防空識別圏をめぐる単純ではない米中交渉の行方

 米国のバイデン副大統領は日本訪問に引き続いて、12月4日から中国を訪問する。中 …

no image
オイルマネーがフランスの貧困地区整備事業に進出。是非を巡って議論噴出

 フランスでは、オイルマネーを使って貧困地区整備事業を行うプランが浮上し話題とな …

googlecar02
グーグル2015年4~6月期決算。増収増益だが、更なる成長は自動運転待ち

 米グーグルは2015年7月16日、2015年4~6月期の決算を発表した。広告事 …

monka
発達障害に関する文部科学省の調査。なぜか被災地域は調査対象から除外

 文部科学省は5日、全国の小中学校に通う児童生徒のうち、人とコミュニケーションが …

jisui
日本は著作権解釈もガラパゴス?。独自解釈が行き過ぎると国際競争でまた敗北するゾ

 本や漫画の電子化を請け負う事業が著作権侵害にあたるとして、作家の東野圭吾氏、浅 …

obamadenwa
オバマ大統領が4月訪日決定。日本側が求めている国賓待遇が微妙なワケ

 米大統領府(ホワイトハウス)は2014年2月12日、オバマ大統領が4月下旬、日 …

apple02
チャイナモバイル効果が出てきたアップル。利益率が急速に改善

 米アップルは2014年1月23日、2014年1~3月期決算を発表した。売上高は …

kodomonote
政府が子供の貧困対策を本格化。だが、支援は民間による基金

 政府が貧困家庭の子供に対する支援の強化を検討している。企業や個人に寄付を呼びか …

houdounojiyu2014
日本において報道の自由を奪っているのは誰か?

 国際的な報道の自由度ランキングで日本の順位が急落していることが話題となっている …

rikokkyoudabosu
李克強首相が中国経済の運営に自信。欧米経済の回復を追い風にバブル封じ込めか?

 中国の李克強首相は、大連で開かれている夏季ダボス会議で講演を行い「中国経済のフ …