ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米民主党、候補者討論会。夫を彷彿とさせるヒラリー氏の左旋回作戦

 

 来年11月の米大統領選に向けた民主党の候補者討論会が2015年10月13日、ネバダ州ラスベガスで開催された。最有力候補であるヒラリー・クリントン前国務長官が安定した対応を見せたが、全体的にリベラル色の強さが目立った。共和党ではトランプ氏が躍進しているが、民主・共和両党において政策の先鋭化が目立つ結果となった。

clintontoronkai

 討論会には、ヒラリー氏のほかに、格差是正を訴えるサンダース上院議員など5人の候補者が参加した。しかし現実には、ヒラリー氏とサンダース氏の一騎打ちの状況となっている。また今回の討論会の結果を受けて、まだ立候補を表明していないバイデン副大統領がどう動くのかについても注目が集まっている。

 ヒラリー氏は過去何度もこうした討論会を経験しており、周到な準備をして今回の討論会に臨んだ。ほとんどの質問に対してよどみなく答え、十分な経験と能力があることをアピールした。
 現在、最大の弱点となっている公務で私用アドレスを使っていた問題については「適切ではなかった」とミスを認める発言を行った。サンダース氏が「この問題については国民もいいかげんうんざりしている」と助け船を出し、重要な論点にはならなかった。

 ヒラリー氏は、最低賃金の引き上げや銃規制強化など、リベラルを強く意識した政策を次々と打ち出した。サンダース氏の主張と重なる部分が多くなり、結果的に両者の違いが薄まった格好だ。指名獲得を最優先したいクリントン氏としては、右派というレッテルを貼られ、リベラル色が極めて強いサンダース氏に敗れるというシナリオは何としても避けたいところ。その点では、ヒラリー氏の目論見通りとなった。

 ヒラリー氏はかつて、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に賛成していたが、今回は反対に回った。以前と比べて状況が変化していると説明しているが、党内の雰囲気を察知して、スタンスを変えたことは明白である。

 こうしたやり方は、夫であるビル・クリントン元大統領を彷彿とさせる。クリントン元大統領は、当初リベラル色の強い政策を打ち出したが、米国で進んでいた保守化の流れに合わせ次々と政策を変更。共和党との違いが見い出せないまでに中道路線にシフトした。一部からは「節操がない」などと批判されたが、持ち前の「軽さ」で乗り切り、当初の予想を裏切り安定長期政権となった。

 ヒラリー氏がリベラル色を強めたことや、経験の豊富さをアピールしたことで、支持率が回復する可能性が見えてきた。今回の討論会の結果は、影の主役であるバイデン副大統領の出馬の判断にも大きな影響を与えることになるだろう。

 - 政治 , , ,

  関連記事

shukinpei06
国連人権理事会が中国の人権弾圧を指摘。だが中国への実質的影響はほとんどゼロ

 国連人権理事会は10月22日、作業部会を開催し、中国に対してチベット自治区など …

nenkintecho
増やすも地獄、減らすも地獄。年金財政は袋小路に入りつつある

 年金制度改革が袋小路に入り込んでいる。年金の国庫負担増額のメドが立たないことか …

aso
麻生財務相が高橋是清の政策をモデルにと言及。その後の展開を知っての発言なのか?

 麻生財務相は2月3日、NHKの番組に出演し、デフレ対策として戦前の政治家である …

sinjuku
実質賃金は下がっているのに、社会的満足度が過去最高の理由

 内閣府は2017年4月3日、「社会意識に関する世論調査」の結果を発表した。現在 …

pakukuneshukinpei
朴槿恵大統領が中国を訪問し習主席と会談。中韓の親密ぶりが際立つ

 韓国の朴槿恵大統領は6月27日、中国を訪問し習近平国家主席と会談した。両首脳は …

koukyo
天皇陛下の思いを推測する宮内庁長官発言を菅官房長官が批判。試される日本人の民度

 菅官房長官は9月3日、閣議後の記者会見において、風岡典之宮内庁長官が、天皇・皇 …

abetoben
安倍政権が解雇規制緩和を断念。これでアベノミクスは名実ともにケインズ政策となった

 安倍政権は、成長戦略の目玉と位置付けていた雇用規制緩和の導入を事実上断念した。 …

chugokutaisikan
NSAによる電話盗聴でにわかに注目を浴びる大使館の「地理的条件」

 米国の諜報機関による電話盗聴問題によって、大使館の地理的な位置関係がにわかに注 …

no image
反日デモはまるで「文化大革命」や「義和団の乱」。当局は反政府運動への転換を危惧

 中国の公安当局が事態の沈静化を図るため、反日デモを押さえ込む方針に転換し始めて …

gwcvn73
握手と蹴り合い。防空識別圏をめぐる単純ではない米中交渉の行方

 米国のバイデン副大統領は日本訪問に引き続いて、12月4日から中国を訪問する。中 …