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安倍総裁が金融政策に関する発言を全面撤回。無邪気な政治家が空けたパンドラの箱

 

 自民党は21日、次期衆院選の政権公約を正式発表した。この席で安倍総裁は、自身の金融政策に関する一連の発言について触れ、事実上すべてを撤回した。

 日銀による国債引き受けに関しては「市場でオペを通じて行うことを述べたもの」とし、直接引き受けについて言及したわけではないと説明した。また3%がふさわしいとした物価目標については「個人的には3%がよいと思っているが、2~3%で専門家に判断を任せる」と述べ、3%の数値についても前言を撤回した。
 さらに甘利明政調会長は日銀法改正について「物価目標を達成できない場合にすぐに総裁のクビをとることは考えていない」として、日銀の独立性を確保していく 考えを示した。

 安倍氏は、政権獲得後の政策について大胆な発言を行ってからわずか数日ですべてを撤回する状況に追い込まれた。日銀法の改正や国債の直接引き受けなど、非常に微妙な内容であったことから、各方面から異論が噴出した結果と思われる。

 日本ではたびたびこのような事態が発生する。特に官僚が持つ重要な権限に対して、無邪気な政治家が踏み込んだ発言を行うと、周囲が真っ青になりヒステリックに反応するという図式である。田中真紀子氏の発言には過去このようなケースが多く見られた。

 安倍氏には著名な経済評論家など数名の経済ブレーンがいるといわれている。阿部氏は、彼らのアドバイスをそのまま受け入れただけで、田中氏と同様、内容をあまり深く考えていないかもしれない。政権を投げ出したという前科を考えると、安倍氏の発言はいかにも「軽い」。
 だが仮にそうだとしても、次期首相になる可能性の高い政治家の、しかも公約に関わる発言が、わずか数日で撤回に追い込まれるという状況はまさに異常である。特にその内容が官僚の権限に触れる問題ならなおさらである。安倍氏は田中氏と同様、その無邪気さでパンドラの箱を開けたのである。

 本誌は安倍氏が主張する国債の日銀直接引き受け論については賛同していない。だが中央銀行がどこまで独立して政策判断すべきかという問題は、民主主義の根幹に関わるテーマであり、幅広い国民の議論が必要と考える。
 いかにも軽薄な安倍氏のキャラクターを割り引いたとしても、今回の前言撤回劇には何か空恐ろしいものを感じる。安倍氏の無邪気発言に慌てた周辺の人々は何を怖がっているのだろうか?それが官僚とその取り巻きである専門家と称する高学歴者達に対する畏敬の念であるなら、これほど恐ろしいことはない。

 - 政治, 経済

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