ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

米駆逐艦の南シナ海航行。妥協点を模索するも、英国が攪乱要因に?

 

 米海軍の駆逐艦が、中国が埋め立てを行う南シナ海の南沙諸島付近を航行したことで、米中間の緊張が高まっている。ただ、米艦の航行そのものは、9月に行われた米中首脳会談が不調だったことからある程度、予想されていた事態であり、中国政府は今のところ抑制した対応を続けている。国際社会は、双方の次の出方に注目している。

lassen ddg82
 南沙諸島付近を航行したのは米海軍の駆逐艦ラッセン。横須賀基地所属のイージス駆逐艦で、同艦は2015年10月27日午前、中国が「領海」であると主張する、南シナ海の人工島12カイリ(約22キロ)内の海域に入った。米軍はしばらく同様の哨戒活動を継続する見通し。中国は「主権を脅かすものだ」として強く反発しているが、今のところ、それ以上の対応は行っていない。

 今回の米軍の行動はある程度予想されていた。9月に実施された習近平国家主席の米国訪問は、ビジネス面では大きな成果があったが、政治面ではほとんど成果が得られなかった。
 オバマ大統領は、習氏に対して南シナ海問題で譲歩するよう迫ったが、習氏はこれを拒否。南シナ海問題が重しとなり、首脳会談後の記者会見でも笑顔は見られなかった。

 オバマ大統領は首脳会談直後に、今回の作戦を許可したと言われており、中国側もある程度、事態は想定していたと見られる。メディアの反応も今のところ冷静だ。
 むしろ国際社会の関心は双方の次に一手に向かっている。米中双方ともこれ以上の対立は避けたいと思っているが、安易な妥協は国内対策を考えると難しい。落としどころをどのあたりに見出すのか、なかなか悩ましい状況にある。

 事態をややこしているのが英国の存在である。英国は10月の習氏の訪英をきっかけに、完全に親中路線に転換。ロンドンの金融センターが、人民元の国際化の手助けをするという方向性が明確になった。これによってIMF(国際通貨基金)の特別引出権(SDR)への人民元採用が確定的となった。米中のすきま風を利用して、英国がうまく立ち回った格好だ。

 今の状況では、人民元の国際化など、金融・経済面で米国が妥協し、安全保障面で中国の動きを抑制するという戦略が描きにくい。場合によっては米国が大幅な譲歩を迫られる可能性もある。米国は同様の作戦をしばらく継続し、中国側の出方を探ることになるだろう。

 - 政治 , , , , , , ,

  関連記事

takusin
タイで再びタクシン派と反タクシン派の政治対立が激化。タイ政治の日本との共通点とは

 タイで再び政治対立が激化している。タイ国会で与党が提出した恩赦法案に対して野党 …

nenkin
年金の長期見通し。生涯現役、女性参加、高リスク運用でようやく現役世代の50%

 厚生労働省は2014年6月4日、公的年金の長期的な財政見通しを発表した。政府が …

kankokuhoudoukan
セクハラ疑惑の報道官。韓国で釈明会見を開くも証言矛盾との指摘

 韓国の朴槿恵大統領の訪米に同行中、セクハラ疑惑を起こして解任された尹昶重(ユン …

cameron2
英国でEU離脱を主張する政党が大躍進。EU問題が再び炎上か?

 英国でEU離脱をめぐる動きが再び活発化している。5月2日に統一地方選挙が実施さ …

kasutoro
カストロ議長が死去。キューバに厳しいトランプ大統領の誕生で両国関係はどうなる?

 キューバ革命を起こし、反米的な社会主義政権を50年以上にわたって率いてきたフィ …

senkaku02
中国が尖閣付近での活動を活発化。今度は新鋭ミサイル駆逐艦を投入

 中国が尖閣諸島付近での活動を活発化させている。これまで中国の活動は日本の巡視船 …

rap01
イスラム過激主義者はなぜかラップが大好き

 パキスタンで9日、イスラム武装勢力タリバンを批判するブログを執筆していた14歳 …

mof03
財務省が歳出削減に本腰?社会保障費に加えて文教費もその対象に

 財務省が歳出削減に本腰を入れ始めている。背景にあるのは日本の財政問題である。消 …

nichigin02
円安をめぐって日銀と政府・財界に温度差。追加緩和か物価目標修正か?

 急激に進む円安をめぐって、日銀と政府・財界に温度差が出てきている。今後の金融政 …

kosokudouro03
大型の公共事業がかえって内需拡大を邪魔している?求人倍率改善のウラ事情

 多くの国民にとってあまり実感が湧かないが、各地で人手不足が深刻になっている。厚 …