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日銀が2度目の物価目標先送りでも追加緩和実施せず。頼みの綱は米利上げ

 

 日銀は2015年10月30日に開催した金融政策決定会合で、物価上昇率2%の達成時期を再び先送りし「2016年度後半ごろ」にすると決定した。市場の一部から期待されていた追加緩和は実施せず、政策手段を温存した形だが、手詰まり感は否めない。

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 日銀は「2年で2%」という物価目標を掲げ、2013年4月から大規模な量的緩和を開始した。当初、物価は順調に上昇し、2014年夏にはプラス1.4%に達したものの、これ以降、物価上昇率は低下し、2015年8月にはとうとうマイナスに転じてしまった。
 日銀は、2年で2%という目標の具体的な達成時期について、当初「2015年度を中心とする期間」としていたが、今年の4月には「2016年度前半ごろ」と先送りを決定、今回「2016年度後半ごろ」と再度、先送りすることになった。

 8月に引き続いて9月の消費者物価指数も、代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」がマイナス0.1%となり、物価下落が鮮明になっている。ただ、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」はプラス0.9%と上昇ペースを速めている。円安による値上げが影響しており、エネルギーを除くとインフレは進んでいると見ることも可能だ。

 市場は量的緩和策に慣れてしまっており、仮に追加緩和策を実施しても、前回のような効果は得られない可能性が高い。またテクニカルな問題として、市場で国債が枯渇しており、現実に大規模な国債購入を継続できないという問題もある。
 日銀としては、追加緩和策は最後の手段であり、できるだけ温存しておきたいというのがホンネだろう。その意味では、エネルギー価格を除けば、物価上昇が継続しているという消費者物価指数の動向は、ギリギリの拠り所ということになる。

 ただ、2度も物価目標を先送りしたという事実は、量的緩和策の効果が十分ではなかったことを事実上、市場に対して表明したことに等しい。日銀が政策的に追い込まれているという印象は否めない。
 頼みの綱は米国である。FRB(連邦準備制度理事会)は、10月のFOMC(連邦公開市場委員会)において年内の利上げ実施を示唆する声明を発表した。もし利上げが実施されれば、円安が進み、追加緩和を行わなくても、物価上昇に弾みがつく可能性がある。少なくとも、FRBの動きを見極めるまでは動かない方が得策ということだろう。

 もっとも、金融政策だけで根本的な問題を解決するという考え方には無理がある。経済システムが硬直化している状況では、いくら日銀がマネーを刷ったところで、インフレ期待が設備投資の増加に結びつく可能性は低い。多くの人が、そのように考えている状況では、実際にマネーが回り始めることはないだろう。
 だが、こうした硬直化した経済システムの現状維持を望んでいるのは日本人自身である。八方塞がりになっているのは、日銀ではなく、日本人自身といった方がよいのかもしれない。

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