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GDP600兆円の具体策について議論始まる。最終的には3%の賃上げで実現?

 

 安倍首相が「新三本の矢」で掲げた名目GDP600兆円の目標について、その具体策に関する議論が始まった。この目標については非現実的との批判が出ているが、政府は賃上げなどで実現できるとのスタンスだ。

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 政府は2015年11月4日、経済財政諮問会議を開催したが、その中で民間議員が具体策の提言を行った。2014年度における日本の名目GDPは約490兆円だが、これを600兆円にするためには110兆円の積み増しが必要となる。原案では、潜在成長率の増加によって60兆円、賃金上昇や交易条件の改善などで50兆円を確保できるとしている。

 潜在成長率の増加は供給面の強化によって実現する。具体的には、企業の設備投資の促進、TPPをきっかけにした高生産性企業への労働移動、女性の就労機会の拡大などが列挙されている。需要面では賃上げによる需要拡大や訪日外国人による消費拡大などが想定されている。

 交易条件については、原油価格が下落していることから、日本の交易条件が改善しているとして、GDPデフレーターの伸びが1%を超えるとした。これに賃上げなどが加われば、50兆円の積み増しが可能だという。

 GDP600兆円の目標については、従来、安倍政権が掲げてきた名目3%、実質2%の成長という数字を別な形で言い換えたに過ぎず、ただの焼き直しであるとの批判が出ている。
 今回の提言においても、具体策として列挙されているものは、すでに何度も議論されている内容であり、目新しところはない。菅官房長官からは「一つひとつやるべきことをきちんとやる」との発言があったが、これも裏を返せば新しい施策はないという意味になる。

 ただ、今回の会合では民間議員から「年3%の賃金上昇が必要」という踏み込んだ発言が出ている。名目上のGDPを拡大させるにはインフレを進行させればよく、強制的な賃上げは手っ取り早いインフレ策といえる。経済界は難色を示す可能性が高いが、来年の春闘では再び政府からの賃上げ要請が行われる可能性が高くなってきた。
 ただ、現状で賃上げを強制しても、実質成長が伴う可能性は低く、国民の生活実感はむしろ苦しくなるかもしれない。

 厚生労働省が4日に発表した2014年就業形態調査では、パートや派遣など非正規社員の割合が初めて4割を上回った。経済界が2度も賃上げを行っているにもかかわらず、労働者の実質賃金が上昇しないのは、給料が安い非正規へのシフトが続いてるからだ。
 今回の会合では、最低賃金の引き上げについても議論されたが、全体の賃上げを進めるという観点では、正社員が中心の春闘よりも、最低賃金の引き上げを実施した方が効果があるかもしれない。

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