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中台首脳が66年ぶりの歴史的会談へ。だが台湾総統選挙には逆効果?

 

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が2015年11月7日、シンガポールで会談する。1949年の中台分離以後、初めての首脳会談となる。来年1月の台湾総統選挙を意識した動きだが、親中路線を進める国民党にとっては逆効果となる可能性もある。

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 中国(当時は中華民国)は太平洋戦争終結後、国民党と共産党で内戦が勃発、内戦に勝利した共産党は1949年、中華人民共和国の建国を宣言した。敗れた国民党は台湾に避難し、そこで中華民国を継続した。双方は、自らが正統な中国政府と主張しており、一触即発の状態になったこともある。

 当初は中国と台湾の対立という図式だったが、対立が長期化するにつれて双方の国内事情も変化してきた。中国の国際的な立場は向上したが、武力を用いて強引に台湾を併合するという選択肢は事実上消滅してしまった。
 台湾では、本土から避難してきた国民党員を中心とする外省人と、もともと台湾に住む中国人(内省人)の対立があり、国民党は内省人を冷遇している。だが台湾が驚異的な経済成長を実現したことで、経済界における内省人の地位が向上。内省人らは、台湾の独立を求めるようになってきた。

 2000年の総統選挙では、建国以来、独裁的な立場を維持してきた国民党が、台湾独立を主張する民進党に敗れるという事態となり、国民党は政治基盤の立て直しが必要となった。
 このため同党は、中国を敵視する従来の方針を撤回し、中国共産党との協調路線を模索するようになる。現在では、中国共産党との協調路線を打ち出す国民党と、中国とは一定の距離を置くこと(現状維持)を主張する野党・民進党の争いという図式になっている。
 台湾では来年1月に馬氏の後任を選ぶ総統選挙が実施される。国民党は後継者の選定で混乱したこともあり、世論調査では民進党の蔡英文氏が高い支持を得ている。

 国民党は習氏との歴史的会談を実現することで、国民からの支持を回復したいところだ。中国としては、台湾との対話チャネルを既成事実化したいという思惑がある。仮に総統選挙で再び民進党が政権に返り咲いた場合、中台の融和路線がストップする可能性がある。中台首脳会談が既成事実となれば、仮に民進党政権になった場合でも、台湾との交渉チャネルを維持することができる。

 強引な中台併合が非現実的になった今、中国としては、香港のような形で台湾を中国大陸に取り込みたいと考えている。だが、台湾国内の世論調査では、自らが「台湾人」だと考える人が6割近くに達しており、「中国人」であるとの回答はごくわずかだ。
 中国は、親中的な台湾の財界人などに巨額の援助を行っているが、親中的なスタンスの台湾人も実利的な面を重視している可能性が高い。中国と台湾の体力差は歴然としており、対等に争う関係ではなくなっているが、そうであるがゆえに、中国は思うように台湾をコントロールできない状態になりつつある。

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