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マイクロソフトがクラウド・サービスの水準を大幅にダウン。タダで使えるという時代は終了?

 

 マイクロソフトが自社のクラウド・サービスの一部について、サービス内容を大幅に変更すると発表したことが波紋を呼んでいる。無料でクラウド上のサービスを展開し顧客を集めるというビジネス・モデルがそろそろ限界に来ているとの声も聞かれる。

one drive

 マイクロソフトがサービス内容を変更したのは「One Drive」と呼ばれるクラウド上のストレージ・サービス。
 One Driveは、クラウド上の記憶領域を利用者がハードディスク代わりに自由に利用できるというもので、同社が提供する業務用ソフト「オフィス」のクラウド版とセットで利用者数を伸ばしてきた。グーグルが提供するGoogle Driveの競合サービスということになる。

 同社は2015年11月2日、クラウド・サービスの内容を大幅に見直すと発表した。これまで最大30ギガバイトを無料で利用することができたが、最終的には5ギガバイトに縮小される。また、オフィスのクラウド版の利用者(有料)についても、これまで実質的に無制限だった容量が1テラバイトに制限される。容量を超過している利用者には順次、通知を行い一定期間を過ぎても容量をオーバーが解消されない場合には、強制的にアカウントを削除することもあるという。

 同社はグーグルに対抗するため、無料での利用範囲を拡大し、顧客を獲得してきた。オフィスのクラウド化は順調に進んでおり、クラウド版オフィスの個人利用 者数はすでに全世界で1820万人に達している。株式市場では同社のクラウド事業の進展を好感し、株価も大幅に上昇していた。

 大半の利用者はそれほど大きな容量のデータをクラウドに預けることはないので、今回の決定によって、利用者に大きな影響が出るわけではない。
 だが、大事なデータを預けるストレージ・サービスはクラウド・サービスの基本となるインフラである。いくら顧客獲得のキャンペーンとはいえ、事業者の一方的な都合でデータが破棄されてしまうというのは、クラウド・サービスそのものに対する信頼性にも関わってくる。一部の利用者からは「マイクロソフトには失望した」との声も聞かれる。

 同社は、一部に想定外の使い方を利用者がいたためと説明しているが、無制限のサービスを提供した場合、こうした負荷の高い利用者が出てくることは事前に想定できた話である。同社のビジネスに対する見通しが甘かったという事実は否定できないだろう。

 今回のマイクロソフトの決定によって、無料であることをウリに顧客を集めるというビジネス・モデルは、ひとつの転換点を迎えるかもしれない。グーグルと異なり、マイクロソフトの場合、顧客からの情報を閲覧して広告収入につなげるというビジネスモデルを採用していない。無料での顧客獲得は、あくまで有料サービスに導入するための戦略であり、持続性がないことがはっきりしてきた。

 利用者はこの事実をよく理解した上で、無料サービスを使うという見識が求められる。少なくとも、無料サービスが無制限に拡大するというフェーズは終了したと考えるべきだろう。

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