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さかもと未明氏のマナー発言が炎上。「正論」だけが幅を利かすグロテスクな光景

 

 搭乗した飛行機内での騒動を記した雑誌記事が物議を醸していたマンガ家のさかもと未明氏が、自身のブログで一連の行為と自身の主張について謝罪を行った。

 問題となった記事は雑誌Voiceに寄稿したもの。飛行機に搭乗中、泣き叫ぶ乳幼児の声にガマンできず、着陸準備中だったにも関わらず「もうやだ飛び降りる」と叫んで出口に向かって走り、母親に注意したというもの。記事では「搭乗マナーや航空会社側の対応について、議論すべき余地はまだまだあるはず」としている。この記事に対してネット上では反論が続出。さかもと氏を批判する意見が相次いだ。

 着陸準備中に勝手に立って通路を走るのは論外だし、基本的に乳幼児の鳴き声については対処の方法などあるはずがなく、さかもと氏に非があるのは明らか。
 だが一方で「乳幼児が鳴き叫ぶのはやむを得ない」という正論を大前提としたうえで、周囲に対する配慮がどこまで個人に要求されるのかという点は大いに議論の余地がある。その意味で、コントロールが難しい乳幼児の声というのは、公共のマナーについて議論するための格好の材料といえる。

 だが悲しいかな、日本ではこのような重要な論点を指摘する人の多くが、さかもと氏のような、ちょっとイっちゃっている人(失礼!)なのだ。さかもと氏の発言には、当然のことながら鬼の首を取ったような「正論」が浴びせかけられ、いつしか、問題提起そのものさえ封殺されてしまう。

 西洋社会と東洋社会では公共のマナーに関する慣習はだいぶ違うようである。こと飛行機の乳幼児対応を例に取ると、西洋社会ではエコノミーでは基本的に制限なし、ビジネスクラスでは遠慮してもらうというコンセンサスが出来ているように思われる。賛否両論があるようだが、ビジネスクラスに搭乗する親子が、子供に飲ませるために睡眠薬を医者に処方してもらうケースは多い。実際、欧米系エアラインのビジネスクラスで子供が泣き叫ぶ状況に出くわすことはほとんどない。

 これは西洋の階級社会からくる独特のマナーかもしれず、日本にそのまま当てはめるのは難しいかもしれない。日本はようやく成熟社会になりつつあるが、こういった社会的なコンセンサスが十分に得られているわけではなく、まだまだ議論の余地があるはずだ。
 さかもと氏のような、ちょっと変わった人による主張で議論そのものをタブー視するのは、もっとも避けるべきことである。

 さかもと氏の主張に対して、「良識」を持った有名人と称する人たちが、こぞって批判している様子はグロテスクですらあり、そこには「良識」のかけらもない。

 - マスコミ, 社会

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