ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

10月の貿易収支は黒字だが、経済環境が大きく変わったわけではない

 

 財務省は2015年11月19日、10月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1115億円の黒字となった。黒字になるのは7カ月ぶりだが、その原因は原油安であり、日本の経済構造が大きく変わったわけではない。

bouekitoukei 201510
 輸出額は6兆5440億円と前年同月比で2.1%減少した。米国向けの自動車は依然として好調だが、船舶が大幅に減少した。ただ、アジア向けの輸出全般が不振となっており、中国の景気失速が大きく影響している。アジア各国による中国向け輸出が減少し、その結果として日本からアジアへの輸出が減るという図式だ。

 輸入額は6兆4325億円と前年同月比で13.4%という大幅減となった。輸入額の減少はこれで10カ月連続となる。輸入額が減少している最大の要因は当然のことながら原油価格の下落であり、日本側の要因ではない。

 このところ原油価格の下落で輸入額が減少し、貿易赤字の縮小が続いてきた。今月はとうとう貿易黒字となったが、季節調整済みの数値では、前月と同様、貿易赤字が継続している。日本の経済構造が変わったわけではなく、今後も基本的には貿易赤字体質が継続すると考えた方が自然である。

 ただ、原油価格が急激に回復する見込みも薄く、しばらくは輸入金額の減少傾向が続く可能性が高い。そうなってくると、輸入価格の上昇を通じたインフレはあまり望めないということになり、日銀の物価目標達成はさらに難しくなるだろう。

 国内では労働需給が逼迫してきており、アルバイトの賃金が高騰している。また電力会社各社は、原油価格が下落していることから、来年1月に一斉に値下げ実施する方針を固めている。
 賃金上昇とエネルギー価格の下落で可処分所得が増え、これが消費増につながれば、経済の好循環が実現できるかもしれない。だが一方で、中国向け輸出の不振というマイナス要素もあり、状況は依然として不透明だ。

 - 経済 , ,

  関連記事

machikado
景気の現状分析。アベノミクスは個人消費を刺激しているが、製造業は依然厳しい状況

 アベノミクスによる株高で日本経済に対する期待感が広がっているが、足元の景気の実 …

imd
世界競争力ランキングで日本は27位。上位常連の国と日本は何が違う?

 スイスのビジネススクールであるIMD(国際経営開発研究所)は2015年5月27 …

nitigin
皆さん!中央銀行の独立性について根本的に誤解していませんか?

 2~3%の高いインフレ目標の設定と、日銀による国債引き受けに言及した自民党の安 …

nichigin
目立った成果がないのに日銀の緩和継続のニュースで株価が急上昇した理由

 日銀は2014年2月18日、金融政策決定会合において大規模な金融緩和策の継続を …

tokyotower02
世界観光ランキングで日本の順位が急上昇。要因は評価項目の入れ替え

 世界経済フォーラムは2015年5月6日、2015年の旅行・観光競争力ランキング …

kokusaishushi201306
貿易赤字だが経常収支黒字の傾向は変わらず。日本は「成熟した債権国」の段階に入った

 財務省は8月8日、6月の国際収支を発表した。最終的な国の儲けを示す経常収支は3 …

unonjack
英国のEU離脱。金融危機の可能性はなくなり、具体的な影響を精査するフェーズへ

 英国のEU離脱を決定した国民投票から10日が経過し、市場はとりあえず落ち着きを …

part_s
パート労働者の時給が急上昇。コストプッシュ・インフレの前触れ?

 パートタイム労働者の賃金が大幅に上昇している。これまで低く抑えられてきた非正規 …

panamagasaki
パナソニックのプラズマ撤退劇に見る、日本企業の「決断できない」体質

 パナソニックは2013年度末をメドにプラズマテレビ向けのパネル生産を停止する。 …

carnival
洋上火災を起こした大型クルーズ船の姉妹船で、今度は乗客が行方不明

 オーストラリアのクルーズ船で乗客2名が行方不明になっている。5月9日午前、10 …