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バラマキにすらなっていない。官庁や独法の予算配分に終始したTPP大綱

 

 政府は2015年11月25日、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関する政策大綱を決定した。農業の競争力強化や中小企業の海外展開策などが盛り込まれたが、各省や独立行政法人への予算配分という色彩が強く、バラマキにすらなっていないとの声も聞かれる。

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 このところ政府が発表する政策には、情緒的で曖昧な文言が多用される傾向が顕著だが、今回の政策大綱においても「新輸出大国」「グローバルハブ」「新農政時代」といった抽象的・情緒的なキーワードが並ぶ。

 だが中身を検証してみると、目新しいものはほとんどない。新輸出大国は、中小企業の海外展開を支援するというもので、具体策としてはJETRO(日本貿易振興機構)、中小企業基盤整備機構、経済産業局などを通じた、説明会の開催、手引き書の作成、相談体制の整備などが列挙されている。
 つまり、府省や独立行政法人などに予算を配分し、その予算を使って説明会をイベント会社に発注したり、制作会社に手引き書の作成を依頼するという形になる。要するに役所に対する予算配分というわけだ。

 グローバルハブも同様である。大綱では海外からの投資を活発化させ、2018年度までに470社以上の海外企業の誘致を実現するとしている。ここでもJETROを通じた誘致活動の強化が盛り込まれた。
 海外からの投資を増やすというのは、成長戦略の中核としてずっと提唱されてきたものだが、いまだに実現していない。日本に対する投資が少ないのは、閉鎖的なビジネス環境や規制が原因であり、宣伝活動の不足ではない。JETROの予算をさらに増やしたとしても、状況は何も変わらないだろう。

 新農政時代については、これまで2020年としていた農林水産物や食品の輸出額1兆円という目標を前倒すことが明記された。すでに立てている目標を前倒しすることが、果たして「政策大綱」なのか、違和感を覚える人が多いだろう。
 具体的にはTPP参加国に対して、食に関するプロモーションを実施するなどの措置が盛り込まれた。これもイベント会社や広告代理店などへの発注という形になるだろう。

 TPP対策については、補正予算と結び付き、バラマキになるのではないかという懸念があった。だが、フタを開けてみると、直接的な支援は、備蓄米の買い上げなど、農家に対する支援策にとどまっており、官庁やそれを取り巻く独立行政法人に対する予算配分に終始している。
 つまり役所の予算配分でしかなく、バラマキにすらなっていない状況といってよい。参院選を見据えた選挙対策という点から見ても、効果は薄いかもしれない。

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