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IMFが人民元のSDR採用を正式決定。猶予期間の設定で人民元改革を要請

 

 IMF(国際通貨基金)は2015年11月30日、特別引き出し件(SDR)に中国の人民元を採用することを正式に決定した。ただ、実際にSDRに採用されるのは来年10月となっており、中国当局に対して人民元の自由化や透明化を強く要請する形となった。

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 SDRとは、IMFが設置している準備金の一種で、これまではドル、ユーロ、円、ポンドという4つの通貨で構成されていた。加盟国にとっては一種のオプションが付与されたような形となっており、通貨危機などが発生した場合には、加盟国がSDRを他国に渡すことで、主要4通貨と交換できる。受け取った主要通貨を自国の金融システム安定化に活用するという仕組みである。

 IMFは基本的にドル・ベースでオペレーションを行っているが、SDRはIMFが持つドルの自己資金を補完する役割を担っている。つまりSDRに採用されるということは、国際的に信頼性の高い通貨として認められたことを意味する。SDRに新しく通貨を加えるのは1981年の現行制度発足以来初めて。

 これまで4通貨の比率は、ドル41.9%、ユーロ37.4%、英ポンド11.3%、円9.4%だった。人民元追加後は、ドル41.73%、ユーロ30.93%、人民元10.92%、円8.33%、ポンド8.09%となる。ドルの構成比率はほとんど変わらず、ユーロ、ポンド、円の比率が低下した。

 SDRに通貨を採用するためには「貿易量」と「通貨取引の自由度」という2つの条件を満たす必要がある。中国の貿易量はすでにユーロ圏に次ぐ水準となっており、アジア地域を中心に人民元での決済も広く行われており、この部分については問題なくクリアできる。
 一方、通貨取引の自由度については不十分な状況が続いている。中国は、人民元の為替相場を一定の範囲内でコントロールする「管理変動相場制」を導入しており、通貨の取引は事実上、中国政府の管理下にある。人民元が国際通貨となるためには、人民元の自由な取引を拡大させていく必要がある。

 IMFが人民元の完全な自由化を待たずにSDR採用へと踏み切ったのは、中国に対して迅速に人民元の自由化を迫る意図があると考えられる。IMFのラガルド専務理事も「人民元改革がスムーズに進むのか監視していく」と発言しており、一定の留保があることを匂わせた。
 ただ、人民元のSDR採用が覆る可能性はほとんどなく、人民元は今後、本格的に国際市場で流通し始めることになる。当面は中国政府の規制が緩むことで、人民元に対しては売り圧力が高まり、弱めに推移するとの見方が強い。

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