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スマホの利用履歴で融資の可否を判断。近い将来、銀行は要らなくなる?

 

 ネットを使った金融サービスの分野に地殻変動が起きようとしている。銀行というビジネスは、基本的なビジネスモデルを変えていない数少ない業種だが、近い将来、従来型の銀行業務は姿を消しているかもしれない。

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 金融サービス分野におけるネットの応用はフィンテックと呼ばれており、日本でも金融機関が取り組みに関する検討を進めている。だが日本におけるフィンテックは、スマホを使って利用者に新しいサービスを提供するといった内容であり、従来のサービスの延長線上として捉えられている。

 だがフィンテックがもたらす本当の変化は、従来の銀行業務そのものの基盤を揺るがしかねない極めて大きなものである。ネット上での金融サービスが拡大した場合、従来型の銀行が要らなくなってしまう可能性があるのだ。

 既存の金融サービスが十分に発達していないアフリカでは、シリコンバレー型の欧米ベンチャー企業が、新しい形態の小口融資サービスを行っている。
 途上国における融資仲介業務を行うNPO「Kiva」の創設者マット・フラネリー氏が設立したBranch.coは、ケニアなどで個人向け小規模融資業務を手がけるベンチャー企業である。このほかにも、InVenture、Saidaなど、同様のサービスが次々と立ち上がっている。

 これら新サービスの特徴は、従来の金融インフラを利用していないという点である。途上国では、個人の信用力を調査するための大規模な仕組みは存在しない。こうした金融ベンチャーはスマホの利用履歴を追い、個人の信用力を評価する。

 例えば、深夜割引の時間帯に多くの通話を行う利用者は信用力が高く返済不能になるリスクが少ないという。一方、メールの受信より送信が多い人やスマホのバッテリーの消費が早い人は信用力が低いと判断される。ギャンブルをする人は信用力が高いという意外な評価結果もある(資金繰りに必死ということなのかもしれない)。

 こうしたサービスは今のところ途上国の小口融資向けが中心だが、当然のことながら、これらの仕組みはいずれ先進国にも拡大してくることになる。
 米国のベンチャー企業であるレンディングクラブは、資金の出し手と借り手をネット上でマッチングするサービスを提供しており、すでに株式をニューヨーク証券取引所に上場している。同社のようなサービスが普及すると、銀行は資金の提供者にもなれない。

 スマホによる個人情報の収集は相当進んでおり、従来の金融機関が持つ信用情報を超えるのは時間の問題である。プライバシー問題とのトレードオフではあるが、こうしたITベースの金融サービスが既存の金融機関の領域を侵食するのは間違いない。

 いつものことなのだが、こうしたグローバルな動向に対する日本側の反応は鈍い。民泊を仲介するAirbnbやタクシーを仲介するUBERについては、欧米ではかなり以前から話題となっていたが、日本での関心は異様なほど低かった。
 実際にこれらの企業が日本に進出し、多くのマンションで民泊と思われる外国人宿泊者を目にするようになってから、賛成、反対の大騒ぎとなっている。だが、多くの人の目に触れる段階では、すでに市場での決着は付いている。

 新しい金融サービスについても関心は低い。このままでは、金融サービスの分野も、Airbnbと同じような結果となってしまうかもしれない。

 - 経済, IT・科学 ,

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