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紛糾するEU予算交渉。日本の自民党政権下におけるバラ撒きとタカリ構造そのもの

 

 EUが策定する2014年から2020年までの7年間の長期予算について紛糾しており、現在開催されている首脳会議では結論がでない可能性も出てきた。

 EUの政策執行機関である欧州委員会は、現在の予算(2007年から2013年)から5%程度の増額となる1兆1910億ユーロの予算案を提示していたが、英国や北欧諸国が反発、最終的には1兆ユーロを下回る規模に削減される見通し。
 だが事態はもう少し複雑である。総額ベースでの交渉に加えて、各国の負担金や受取金をめぐって利害が錯綜しているのだ。

 EUは基本的に資金を拠出する豊かな国と資金を受け取る途上国に二分されている。拠出金から受取金を差し引いた準拠出額がもっとも多いのはドイツで約110億ユーロ(1兆1000億円)、ついで英国の72億ユーロ(7200億円)、フランスの64億ユーロ(6400億円)となっている。
 一方、受取金の多い国は、ポーランドが108億ユーロ(1兆800億円)、ギリシアが46億ユーロ(4600億円)、スペインが30億ユーロ(3000億円)となっている。

 これだけを見ると、単純に富裕国と貧困国の争いという図式になるが、実態はそう単純ではない。フランスは確かに支出負担が多いが、一方でEU最大の農業補助金の受取国でもある。フランスが受け取る農業補助金は95億ユーロでフランス国内における農業政策の柱となっている。またポーランドはドイツに隣接しており、ドイツ経済圏の影響を強く受けている。ポーランドへの多額の補助金はドイツにとっては実は大きなプラスになっている。

 一方的に負担しているのは英国のように見えるが、英国はかつてサッチャー政権時代に獲得したリベート(還付金)というものがある。これは農業補助金をほとんどもらえない英国がEUに対して要求し勝ち取ったもので、補助金とは別枠で英国に拠出される資金である。英国はEU予算全体の削減を強く求めているが、自国のリベート削減には反対している。

 さらに問題を複雑にしているのは肥大化するEUの官僚組織である。EUの執行機関は、下手をすると各国政府との二重コストとなる。だが一旦役所を作ってしまうと際限なく肥大化するのは役人の世界共通の習性であり、今やEUの事務コストは全体の6%にも達している。
 新しく建設されている超豪華なEU本部庁舎には3億ユーロ(300億円)もの大金が投じられている。またEUの歴史を開設する展示館が6500万ユーロ(65億円)で建設されるなど、日本の公務員も真っ青の派手な無駄使いが横行している。EU官僚が高給で仕事をしないのは有名(ランチに2時間かけると揶揄されている)であり、英国ではEU脱退論まで出ている。

 EUの予算をめぐるゴタゴタは、農業補助金と開発助成金をめぐる分捕り合戦であり、日本の自民党政権時代におけるバラマキ分捕り行政そのものである。
 ギリシャ、スペイン問題は、経済状況の異なる国を無理やり統合したツケといわれているが、EUの予算をめぐる紛糾にも同じ問題が顕著にあらわれている。

 - 政治

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