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人工知能によって仕事の半分がなくなるとの野村総研の推計。現実はもう少し残酷?

 

 野村総合研究所は2015年12月2日、日本の労働人口の約半数が、人工知能やロボットで置き換えが可能との推計を発表した。
 この推計は、2013年にオックスフォード大学が発表した研究をそのまま日本にあてはめただけのものであり、多くの前提条件が付いている。実際に人工知能が普及する時には、推計結果とはまったく違う状況となっている可能性が高い。

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 オックスフォード大学の研究は、職種ごとに、操作性、創造性、社会的相互作用などの項目で評価を行い、人間が行う作業との置き換え可能性を数値化する手法が用いられた。
 この評価方法では、操作性がロボットに向いていれば置き換えが容易と判断されるが、コスト面は評価の対象外となっている。現実にはロボットに向く作業であっても、コストが高ければ人間の仕事がなくならない可能性がある。
 また、この研究では創造性の分野は人間に向いているということが前提になっており、創造性が必要とされる職種の置き換え可能性は低く計算される。

 野村総研の推計は、オックスフォード大学の協力を得て行われており、同大学が開発した評価アルゴリズムがそのまま用いられている。このため、職種が日本と英米で異なるだけで同じような結果になる可能性が高い。
 実際の評価結果も同様で、人工知能やロボットによって置き換わる可能性が高い職種としては、一般事務員、タクシー運転手、レジ係など、いわゆる単純労働がその対象となっている。一方、置き換わる可能性が低い職種としては、アートディレクター、エコノミスト、教員、介護職員などが列挙されている。

 だが現実にはこうした推計とは異なる方向に向かう可能性が高い。当分の間、ロボットのコストは高いので、低賃金単純労働を簡単に置き換えることは難しい。むしろ、頭脳労働ではあるものの、単純な知識に依存し、賃金が高いという職種の方が大きな影響を受ける可能性が高い。
 具体的には医師や弁護士、アナリスト、会計士といった職業である。彼等の仕事の大半は、単純な知識に基づいており、容易に人工知能への置き換えが可能である。しかも高賃金なので採算も合う。

 またアートディレクターや雑誌の編集者、Webサイトのデザイナ-など、創造性が必要とされていた分野も危ないだろう。
 オックスフォード大学が想定していた状況とは異なり、今では人工知能が、絵を描いたり作曲するのは当たり前となっている。絵のコンセプトを入力すると勝手に絵を描くアプリも登場している(写真)。
 こうした機能に、流行に関するビックデータを組み合わせれば、いとも簡単に、売れそうなデザインや曲を何百、何千と量産することができる。極めて高い芸術性を要求される分野でもない限り、機械への置き換えは容易だ。

 ロボットや人工知能の普及によって、ある職種が丸ごとなくなるわけではない。その分野で大した実績を上げていないのにプロとして処遇されていた人の仕事がなくなるだけと考えた方が自然である。
 高い実績を上げていた人は、むしろ人工知能を併用することで、さらに生産性が高まることになる。ごく一部の優秀な人に仕事が集中する結果となりそうだ。

 - 社会, 経済, IT・科学

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