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日本の温室効果ガス削減は家庭の省エネ頼み。断熱ゼロで寒い日本の家がさらに寒くなる

 

 地球温暖化対策の国連会議COP21において、パリ協定が締結されたことで、温暖化対策は新しい次元に入った。今後、官民一体となった取り組みが求められることになるが、日本の貧しい住環境などを考えると、民間部門での取り組みには限界がある。

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 COP21は、途上国をすべての国が参加できることを最優先し、具体的な削減目標は各国が自主的に設定する形になった。だが、削減に向けて努力することが義務付けられており、今まで以上に真剣な取り組みが求められていることは間違いない。

 日本政府は「2030年度に2013年度比マイナス26.0%の水準にすること」を掲げており、基本的にはこの水準が当面の目標値になる可能性が高い。だが現実にこの数字を実現できるのかは不透明だ。その理由は家庭部門への要求水準が極めて高いからである。

 政府の削減目標では、CO2の排出量について、産業部門では6.5%減としているが、家庭部門では何と40%という数字を提示している。できるだけ産業に影響しないようにという配慮と思われるが、家庭において排出量を4割削減するというのは並大抵ではない。
 住環境計画研究所の調査によると、日本の家庭のエネルギー消費量は米国の半分、欧州の6割しかなく、省エネという意味では、すでに日本は雑巾を絞りきった状態にある。しかも、現実には省エネではなく、住環境が悪質なまま放置されているという方が実態に近い。

 日本の家屋における暖房用途のエネルギー消費量は何と欧米の5分の1しかない。家屋が断熱構造になっておらず、部屋全体を温める暖房方式が採用されいないこととが主な原因である。以前から、高齢者など体力的弱者における健康管理の面で、局所暖房の欠点が指摘されているが、この状況は一向に改善していない。

 その原因として、こたつなど日本の暖房文化が欧米とは異なるという主張が見られるが、おそらくそれは本当の理由ではない。最近はマンションが増え、従来の日本家屋型の生活をしている人は少数派だ。ところが、日本の家屋はマンションも含めて断熱性能(特に窓の断熱性能)が著しく低く、全体暖房を使っても効果がない状況にあるため、結果的に局所暖房が用いられている可能性が高いのだ。

 政府の削減目標暖化目標の具体策には、家庭部門では家の断熱を促進することが盛り込まれている。だが、全家庭で断熱工事を行うコストはマクロ的に見てとても捻出できないだろう。具体策にはこれに加えて「国民運動の推進」という文言が盛り込まれており、国民が自主的に省エネに取り組むことも示されている。

 国民運動というというと聞こえはよいが、要は「国民が努力せよ」という意味である。すでにかなり寒いといわれる日本の家屋で、さらに暖房を削り、省エネを実現する形になる。断熱性能が低いと冷房の効率も下がるので、夏は、暑さを我慢するという話になるだろう。
 日本の住環境の劣悪さは、以前から議論になっていたが、温室効果ガスの問題で、その状況はさらに悪化しそうである。

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