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FRBがとうとう利上げを決定。米国経済は非常事態から完全に脱却

 

 FRB(連邦準備制度理事会)がとうとう政策金利の引き上げを決定した。米国の金融政策は、リーマンショックという非常事態への対応から、好調な経済を前提にした舵取りへと180度変わる。

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 米国の中央銀行にあたるFRBは2015年12月16日、FOMC(連邦公開市場委員会)において、短期金利の指標となるフェデラルファンド金利(FF金利)の目標を0.25%引き上げた。FRBのイエレン議長は、年内の利上げについて何度も言及しており、市場は完全に今回の利上げを織り込んでいたため、驚きの声はない。

 だがリーマンショック以降、大規模な緩和策を継続してきた経緯を考えると、政策金利が引き上げられというのは象徴的な出来事といってよい。米国経済が健全であることを、ようやく明示的に示すことができるようになったからである。

 7~9月期のGDP成長率は年率換算でプラス2.1%、11月の雇用統計は雇用者数の増加が前月比21万1000人増、失業率は5%と非常に好調である。失業率については、今後さらに低下する見込みであり、完全雇用に近づきつつある。金融政策の決定要因として雇用を重視してきたイエレン氏にとっては、満足のいく状況といってよいだろう。

 もっとも、8月には中国ショックがあり、中国経済の失速が米国経済に波及することが懸念された。このためFRBは9月の利上げを見送っている。
 実際、製造業の景況感は悪化しており、米供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業景気指数は48.6と、景気判断の境目である50を割った状況にある。しかし、中国経済の状況が米国経済全体に連鎖する兆候はなく、市場の懸念はほぼ消え去った状況にある。

 ただ、インフレ率は思うように伸びておらず、米国経済はそれほど楽観できる状況ではないとの意見もある。11月の消費者物価指数は前年同月比でプラス0.5%、FRBがインフレ目標の目安として重視しているPCE(個人消費支出)価格指数は、プラス1.3%(10月)と、インフレ目標として掲げる2%からはほど遠い状況にある。
 物価が伸び悩んでいる原因としては、原油安など一時的な要因があると考えられているが、IT化の進展など構造的な要因や、長期的な経済成長の鈍化などマクロ的な要因を指摘する人もいる。

 こうした状況を総合的に考えると、金利の引き上げを決定したものの、今後のペースは緩やかなものとし、緩和的なスタンスを継続する方向性となるだろう。FOMCメンバーの予想をまとめると、来年は4回の利上げを想定していることになるが、実際はもっと少ない回数になると見る専門家もいる。

 インフレ率が低い状態で推移する可能性が高い現状を考えると、金利引き上げで一気に市場が引き締められる可能性は低いだろう。そうなってくると、緩やかなドル高傾向が継続し、米国株はそこそこの水準で推移するというのが、常識的な予想ということになる。

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