ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

政府の新成長戦略で飛び出した小中プログラミング教育の「今更感」

 

 安倍政権は、名目GDP(国内総生産)600兆円の目標を達成するため「第4次産業革命」を今後の成長の柱に据える。
 ロボットや人工知能の活用を謳っているが、そのための人材育成手法として小中学校でのプログラミング教育を実現するとしている。ただ、今から小中学校でプログラムを教えることが、果たしてイノベーションにつながるのか疑問視する声も多い。

sangyokyosoryokukaigi

 25日に開催された政府の産業競争力会議では、6月にまとめる予定の新成長戦略について議論した。IoT(モノのインターネット)やシェアリング・エコノミー、人工知能、ロボット産業などを今後の成長の柱とする方針が示されている。

 だが具体的な方策となると何ともお粗末である。「世界トップレベルの人材を輩出」「未来社会を見据えた初等中等教育の変革」と目もくらむような華々しい言葉が並んでるが、具体的な施策ということになると、小中学校のプログラム教育ぐらいしかない。

 だが、小中学校で今からプログラムを教えることが、果たして「未来を見据えた」教育改革になるのか疑問視する声は多い。
 これからの社会にITスキルが必須なのは、言うまでもないが、それはプログラミングのテクニックではない。人工知能が発達すれば、近い将来、プログラミングという仕事そのものが消滅する可能性が高く、そうだとすると、これから消滅する可能性があるスキルを義務教育で教えることになってしまう。

 むしろこれからはプログラミングといった単純作業はロボットに任せ、人間はシステムに実装すべき対象を体系化する仕事に注力した方がよい。論理的な思考回路や斬新な発想の方がより重要となってくるはずだ。

 そのためにはプログラミングそのものよりも、論理的思考回路を養ったり、異なる考え方であってもそれを理解し、体系化するための複合的なトレーニングを行うべきだろう。
 もちろん人工知能時代であってもコードを書く仕事は必要だが、こうした実務的なスキルは、職業訓練として集中して教え込めば十分である。

 ちなみにプログラミングを大量生産の手段として位置付け、画一的な教育を行ったのは、20年前のインドや中国である。その結果、インドや中国は、ソフトウェア開発の下請産業として大きな発展を遂げた。日本は今から、インドや中国になろうとしているのだろうか。
 日本の公務員の発想というのは、いつの時代も、20年程度の「遅れ」が生じるらしい。

 - 政治, 経済, IT・科学 , , , ,

  関連記事

sonyhirai
ソニーが最悪のタイミングで増資を発表。もはやグローバル企業ではなくなった?

 ソニーが突然、公募増資などによる最大4400億円の資金調達を発表した。業績回復 …

tosho
金融庁で企業統治改革の検討が始まる。本当に日本人はガバナンス強化を望むのか?

 上場企業の企業統治(コーポレートガバナンス)に関する具体策を検討する有識者会議 …

keidanren2015teigen
経団連が8年ぶりに総合的な政策提言書を作成。かくしてその中身は?

 経団連は2015年1月1日、2030年までの国家ビジョンを示す政策提言「『豊か …

bouekitoukei201402
2月の貿易収支は先月の反動で改善。今後の焦点は日本人の購買力

 財務省は2014年3月19日、2月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し …

kaieda
民主党の代表選に海江田氏が「比例復活」の状態でも出馬するワケ

 民主党は22日に実施する代表選に、同党の海江田万里元経済産業相が立候補を決めた …

misutoraru
ロシアがフランスからの揚陸艦購入を正式に断念。北方領土付近は現状維持へ

 ロシアがフランスから購入する予定だったミストラル級強襲揚陸艦について、ロシア政 …

karyoku
原発再稼働をうたったエネルギー基本計画素案の前提条件は合っているのか?

 経済産業省は12月6日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会を開き、「エネ …

sanpeter
中国がバチカンに台湾との断交をあらためて要求。なぜ両者は対立しているのか?

 ローマ法王庁(バチカン)と断交状態にある中国政府は、新しくローマ法王に就任した …

uiguru
新疆ウイグル自治区でまた衝突が発生。取材制限で実態は闇に包まれたまま

 中国国営の新華社通信は6月26日、中国北西部の新疆ウイグル自治区で「ナイフで武 …

komatsu
コマツの中間決算を見れば分かる、世界経済の動向と今後の課題

 世界景気、特に新興国の投資需要の減衰が顕著になってきている。先進国では米国が堅 …