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シャープは政府ファンドのリストラ案を嫌い、鴻海による買収で最終調整?

 

 経営再建中のシャープは、台湾の鴻海精密工業による買収案を受け入れる方向で調整を進めている。当初、日の丸ファンドである産業革新機構が買収するといわれていたが、鴻海側が破格の好条件を提示したことで、一気に鴻海による買収に傾いた。

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 鴻海はシャープの経営危機が表面化した2013年から一貫してシャープ買収を提案している。だが当時のシャープ経営陣は鴻海の傘下に入ると厳しいリストラが進められることを警戒し、鴻海からの提案を拒絶。交渉は一旦中断となっている。

 だがシャープの経営は好転せず、自力での再建が難しいことが明白となり、鴻海は再びシャープに対して買収を提案するようになった。ここに割って入ったのが、政府系ファンドである産業革新機構である。
 産業革新機構は「技術流出を防ぐ」という大義名分を掲げており、シャープを買収して、同じく政府主導で支援を行っているジャパンディスプレイと統合させるプランを練っていた。いわゆる「日の丸液晶連合」である。

 当初は産業革新機構による買収で固まったかと思われたが、土壇場で状況は逆転した。シャープの高橋興三社長は2016年2月4日、決算発表の場において、事実上、鴻海との交渉を優先していることを認めた。

 産業革新機構は3000億円程度の支援を計画しているが、鴻海はその2倍以上の7000億円。しかも産業革新機構側は、金融機関が持つ債権の一部放棄や、新しい役員を産業革新機構側が選ぶといったリストラ策を求めている。鴻海案の詳細は不明だが、こうした厳しい要求は行われていない模様。また、事業売却は行わず、シャープのブランドも維持される可能性が高い。

 シャープはこれまで厳しいリストラを避けるため、頑なに鴻海からの提案を拒絶してきた。シャープの経営は迷走しているが、リストラを回避したいという点では、まったくといってよいほどブレがない。同社の最優先課題がリストラ回避ということであれば、今回、厳しいリストラ策を提示しなかった鴻海の提案を受け入れる可能性は高いだろう。

 これまでの日本社会は外資による買収提案があると、激しい拒否反応が起こるのが常であった。だが今回は、逆に「国策」を掲げた日の丸ファンドが厳しいリストラを要求し、優しい対応を約束した外資系企業にすがるという奇妙な状況となっている。

 国策ファンドである産業再生機構には多額の税金が投入されている。市場では同機構に対して、その存在意義を疑問視する声が発足当初からあった。もし最終的に鴻海による買収で決着した場合、この問題はさらに顕著となってくるだろう。
 「日の丸連合」や「技術流出の阻止」といった大義名分を掲げても、当の日本企業からそっぽを向かれてしまうのでは本末転倒である。

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