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「アラブの春」の実態が明らかに。エジプトでモルシ大統領が独裁者に豹変

 

 エジプト各地で大統領権限を大幅に強化したモルシ大統領に対する大規模なデモが発生している。「アラブの春」と呼ばれた民主化運動を経て誕生したモルシ政権だが、はやくもその実態が明らかになった格好だ。

 モルシ大統領が追加した大統領権限は、解散中の議会に代わって大統領が立法権を持ち、司法がその決定を覆すことができないという内容で、事実上三権分立をなくしてしまうというもの。また司法が新憲法の起草委員会を解散する権利も剥奪した。
 民主化運動のリーダーの一人で野党党首のエルバラダイ前国際原子力機関事務局長は「大統領はあらたな王になった」と述べ独裁を強く批判した。

 モルシ大統領は、エジプト軍事政権のトップであったムバラク大統領の独裁に反対する民主化運動「アラブの春」によって大統領に就任した人物。だがモルシ大統領自身は、イスラム原理主義組織であるムスリム同胞団出身であり、民主化が成功してもイスラム主義の独裁となってしまい、民主国家にはならないという指摘も出ていた。今回の一連の措置はその懸念を裏付ける形となった。

 ムバラク軍事政権は、軍部や官僚が強大な権限を握り、体制に反対する勢力は厳しく弾圧してきた。官僚主導の政治に反発する勢力は大きく分けて二つあった。ひとつは純粋な民主主義を標榜するグループ。もう一つは保守的愛国的なイスラム原理主義を掲げるグループである。アラブの春では、敵の敵は味方ということで団結したが、革命が終了すると両者の違いが顕在化してしまった。自由競争や女性の社会進出を容認する民主主義者はイスラム原理主義者からすれば敵である。イスラム原理主義者に支持されているモルシ政権は、民主主義者の弾圧を開始したというわけである。

 このような図式はイスラム教というキーワードを除けば、民主主義の発達が未成熟な国(日本や韓国を含む)にはよく見られるものである。
 日本において官僚主導の息苦しい政治体制に反発しているのは、自由競争と民主主義を望む人たちと、右翼的伝統的価値観を望む人たちの2種類である。前者は国際化、女性の社会進出、構造改革に積極的だが、後者はこれらに否定的な人が多い。官僚主導の体制に対する反対という意味で両者は同じだが、最終的に手を組むことはできないのである。

 中東という日本とはあまり縁のない国の出来事だが、エジプトが抱える問題は、日本が内包している問題と大して違いはない。民主主義をめぐって混乱するエジプトの姿は日本の将来像かもしれない。

 - 政治, 社会

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