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丸山発言は特殊ではない。日本人の人権感覚はズレているという認識が必要

 

 参院憲法審査会でオバマ米大統領に対する人種差別的発言を行った丸山和也議員は2016年1月17日、「言葉足らずで申し訳なかった」と謝罪し、発言を撤回した上で、党の役職を辞任した。
 しかし丸山氏は翌日、記者団に対して「私の発言は大変誤解されている」「真逆の批判をされるのは不本意」「米国への尊敬の念がほとばしった言葉」などと、自らを正当化する発言を繰り返している。

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 丸山氏は「良心において恥じるところは何もない」と述べていることを考えると、一連の発言は丸山氏の本心であり、それは差別に該当しないと考えているようである。
 日本における人権の感覚が諸外国と乖離するケースはたびたび見られることだが、丸山氏が弁護士出身の政治家であることを考えると、この問題はかなり深刻かもしれない。

 丸山氏は17日の参議院憲法審査会で「今、アメリカは黒人が大統領になっているんですよ。黒人の血を引く、ね。これは奴隷ですよ、はっきり言って」などと人種差別的な発言を行った。奴隷だった人でも大統領になっているのだから米国は変化に満ちあふれた国だと発言することは、国際社会では、ほぼ100%差別発言に該当する。だが丸山氏の見解は異なっているようだ。

 だが、こうした考え方は丸山氏だけに特別なものではない。これまでも日本の政治家は黒人に対する差別発言を繰り返している。
 かつて中曽根元首相は「黒人は知能が低い」と発言して大問題になったことがあるし、渡辺美智雄元副総理も「黒人は破産することなど何とも思わずアッケラカーのカーだ」と発言してやはり問題となった。

 こうした差別的な感覚は、世代的な部分も大きいだろう。だが、他国の差別感覚をなぜか自国に持ち込み、他国で差別されている人を見下すというズレた感覚は、完全に日本人の中から消滅したわけではないだろう。意識しない差別というのは、想像もしない結果をもたらす可能性があり、大変危険なものである。

 今回の丸山発言に対しては米国から今のところ何の反応もない。ちなみに、中曽根氏の発言に対しては、米国で非難の嵐となり、日本企業には抗議の電話が殺到、米国の主要紙には批判広告が相次いで掲載された。
 一議員にすぎない丸山氏と、総理や副総理という役職にある人の発言では重みが違うのは当然だが、当時と今との最大の違いは日本に対する米国の認識であろう。

 当時、米国があれだけ怒ったのは、日本は先進国であり、米国にとってはパートナーという認識があったからである。しかし、現在の日本に対して強固なパートナーとの認識を持っておらず、そして先進的な民主国家としても認定されていないのだとしたら、どうだろうか。

 2013年には日本の国連大使が、日本の人権問題に関する指摘に対して「日本は世界でもっとも人権が保護される国家である」と発言して失笑を買い、これに激高して「黙れ!」と怒鳴った事件があった。
 絶対的なパワーを持つ覇権国から、非パートナー国家、非民主国家と断定された国がどのような末路を辿るのかは(その理屈がいかに欧米中心の半ば独善的なものあったとしても)、歴史を見れば明らかである。

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