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マイナス金利なのに海外投資家が日本国債を積極的に買う理由

 

 このところ日本国債を積極的に購入する海外投資家が増加している。だが、それは日本国債の安全性を考慮してのものではない。円の調達コストが劇的に低下していることが原因であり、長期的に見れば国債市場の不安定化につながる。

nihonen 財務省によると、2015年における外国人投資家による短期債および中長期債の購入額は19兆6000億円だった。2014年は13兆3000億円、2013年は1兆6000億円だったので、2014年からの増加が目立つ。
 2015年における、借換債などを含んだ国債の発行総額は約170兆円だったので、外国人投資家による投資がすべて国債だと仮定すると、国債全体の2割を購入した計算になる。

 マスメディアの報道では、欧州などで利回りが低下したことで、余剰資金の一部が安全資産である日本国債に回ってきたとの解説が多い。確かに、海外の余剰資金は一定のルールに従ったポートフォリオ運用が必要なので、一部は日本国債で運用されるという側面がある。

 だが、グローバル市場では、日本の財政問題は強く意識されており、現実には安全資産とはみなされていない。そのような状況で、日本国債への投資が増えているのは、円の調達コストが劇的に安くなっており、そのうまみがあるからだ。

 このところ、為替フォワード取引などの分野でドルの調達コストが急上昇している。これは逆に見れば、円の調達コストが安いことを意味している。現在、日本勢はかなりの手数料を払ってドルを調達しており、逆に海外勢は、ドルを提供することで利益を上げることができる。
 ドルの提供ですでに利益が出ているので、金利が安くても日本国債に投資をするメリットが出てくるという仕組みである。これはマイナス金利であっても同じで、国債の先高感が継続する限り投資は続くだろう。

 この状態は、日本円に対するニーズの低下から発生しているものである。長期的には日本円や日本国債の信認低下につながってくる動きであり、決して喜ばしいことではない。

 製造業の分野では、最近、海外で得た利益を国内に貫流せず、現地で再投資する動きが活発化している。従来のドル取引に加え、アジア地域では人民元建の決済が増えており、日本円のニーズが下がっていることが主な原因である。
 日本の経常収支は、貿易赤字を海外子会社からの配当収入がカバーするという図式であった。だが海外の子会社が配当という形で利益を国内に還元しないということになると、経常収支がマイナスになることに加え、日本国内への投資はますます減ってしまう。

 このところ、円の先高感が強いが、それは米国景気に対する不透明感というよりも、こうした特殊な事情が背景にあると考えた方が自然である。日本円はすでに安全資産などではない。

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