ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ウォール・ストリート・ジャーナルが日銀に原油を買えと大胆提案!

 

 米経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が日銀に対して面白い提言をしている。現状を打開するため、日銀は原油を購入すべきという内容だ。ファンタジーと前置きしての話だが、日銀が直面している苦悩を反映しているという点では非常に興味深い。

tanker

 WSJは、日銀が原油を購入すべき理由として、原油購入によって原油価格が上昇し、これによって円安が進む可能性が高いこと。さらには原油輸入国である日本が積極的に原油を買うことで、関連施設への投資が見込めることなどをあげている。

 現実に日銀が原油を買えるかという問題はさておき、インフレ期待を醸成させるという量的緩和策の趣旨から考えれば、理論的にはあり得ないことではないかもしれない。だが、今の日銀にとっては少々皮肉な指摘ということになるだろう。

 リフレ派経済学者の代表で、量的緩和策の中核的人物でもある日銀の岩田副総裁は以前、物価は個別の商品価格の積み上げで決まるという反リフレ派のエコノミストを厳しく批判していた。物価はマネタリーベースなど金融的な側面で決まるものであり、個別要因は関係ないというのが量的緩和策の理論的根拠となっているからだ。

 確かに中長期的に見れば、物価とマネタリーベースは連動しているので、この考え方は正しいのかもしれない。だが、現在、日銀が外部に向けて説明している内容は、少々、この理論から逸脱しつつある。

 岩田氏は物価目標が実現できていない理由として「原油価格の大幅下落によるところが大きい」と説明している。原油を除けば、継続的な物価上昇は発生しているという話であり、実際のその通りである。

 だが、3年間、量的緩和策を続けてきて、ここまで物価が上がらないとなると、量的緩和策も万能ではないということになる。このような状況で、原油価格の下落という個別の物価要因で、全体の物価が下がっているという説明を聞かされてしまうと、量的緩和策の効果に疑問を持ってしまう人が出てきても不思議ではない。

 個別商品に的を絞った政策が必要というWSJのコラムは、非現実的とはいえ、非常にタイムリーなものかもしれない。
 マネタリーベースと物価の関係は中長期的には連動するにしても、その変化が非連続的なものであっては、物価の安定という中央銀行の本来の役割から逸脱してしまう。

 原油安の影響を受けているのは日本だけではないことを考えると、ここには日本独特の事情があると考えた方がよいだろう。どうしても脳裏に浮かんでくるのは、アベノミクスにおける成長戦略の頓挫である。

 経済の基本構造が硬直的なままでは、金融政策の効果も半減してしまう。WSJのコラムは、むしろそこを指摘していると解釈した方がよいのかもしれない。

 - 経済 , , , ,

  関連記事

piketishasin
日本の所得上位1%が年収1300万円という識者の指摘は本当か?

 ピケティ・ブームが続く中、日本の所得上位1%は1300万円からという数字がネッ …

masuzoe03
オリンピック利権に好都合だった舛添氏の辞任で、日本経済の不確実性は高まった

 東京都の舛添要一知事は2016年6月15日、6月21日付けの辞職願を都議会に提 …

jinmingen
中国が事実上の通貨切り下げ。米国以外はすべて大規模緩和状態へ

 中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、対ドル為替レートの「基準値」の算出方法を …

no image
経済誌のスクープ記事で、アップルの奴隷に成り下がった日本メーカーの実態が明らかに

 週刊ダイヤモンドのアップル特集が話題となっている。iPhoneに部品を供給する …

kuroda02
日銀は2年で2%という物価目標を堅持。そうだとすると、追加緩和は必須?

 日銀の黒田総裁は2015年3月17日、記者会見において「2%の物価目標を2年程 …

no image
IMFが指摘。日本の金融機関はもうこれ以上、国債を買い支えることはできない

 IMF(国際通貨基金)がいよいよ日本の国債消化能力ついて懸念を表明し始めた。 …

businessman04
駆け込み需要で絶好調な1~3月期GDP。10%増税と追加緩和への影響は?

 内閣府は2014年5月15日、2014年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報 …

sebunsuzu
セブン鈴木氏の退任によって、同社は批判できないというタブーがなくなった?

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者が退任の意向を明ら …

orand78%
大連立構想は国力衰退の象徴?ギリギリで大連立を回避した日本はまだマトモかもしれない

 総選挙における自民党の大勝利で立ち消えになったが、民主党政権末期には大連立構想 …

no image
Amazon課税包囲網が完成。だが日本の出版業界は暗い顔。その真意とは?

 米国カリフォルニア州において、インターネット小売業者(Amazonがターゲット …